2022年4〜9月におけるオークマグループを取り巻く経営環境は、サプライチェーンの混乱、半導体等、 部品・ユニット類の調達難、原材料のコスト高の影響を大きく受ける展開となった。
米国市場では、自動車、航空宇宙、半導体製造装置関連等、幅広い産業分野で設備投資の動きが続いた。欧州市場では、ドイツ、イタリア等の主要国を中心に、自動車、農業機械を始めとする幅広い産業分野の一次、二次 サプライヤから多くの需要を得た。夏場にかけては中小事業者を中心に景気の先行きを様子見し、投資を先送 りする動きも見られた。
国内市場では、半導体製造装置関連からの旺盛な需要は継続し、建設機械、減速機関連は堅調に推移した。産業機械は回復が続き、自動車関連も緩やかながらも回復基調となり、工作機械は堅調な需要が続いた。
このような経営環境の下、半導体を中心とする電子部品の調達の制約に対し、NC装置を内製化する強みを活かして柔軟な生産対応を行い、品質と顧客納期の確保を最優先に出荷、売上を進めてきた。円安による部材の コスト高や電力料金等の高騰は、生産性向上によるコスト吸収に努めたうえで、販売価格への転嫁を図った。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
オークマグループを取り巻く今後の経営環境については、第3四半期以降においても、電子部品を中心とした調達品の制約、部材やエネルギー価格の高騰、不安定な国際物流の影響が続くことを想定している。
工作機械の需要については、コロナ禍でのペントアップ需要の後退、インフレ局面に伴う金融引き締めやウクライナ紛争、中国の「ゼロコロナ政策」の継続の影響等により、設備投資拡大のペースは緩やかになるものと見ている。他方、コロナ禍を契機に新たに加わった自動化のニーズ、EV化等の環境対応、半導体を始めとする先端技術対応、サプライチェーンの強靭化や再配置等、ものづくりを巡る構造的な変化に伴い、工作機械と関連システムの需要は底堅さを維持するものと見込まれる。米国市場においては、生産拠点の自国回帰により、生産能力増強の基調は続くことが期待される。他方、欧州市場はインフレ圧力、資源高等により景気が弱含み、設備投資に対する慎重さが高まるリスクがある。 中国市場では、EV関連やハイテク産業等、中国における成長産業からの需要は底堅く推移することが見込まれル。その他のアジア諸国においても、グローバルな製造拠点再配置の動きの中で、工作機械需要の回復が進むものと予想されル。
国内市場においては、調達問題の解消と共に自動車関連産業は復調に向かい、設備投資は本格化し、また、自動車のEV化を始め、様々な機器のAI化等の機能向上を背景に、半導体製造装置関連からの持続的な需要が見込まれる。更に環境対応、エネルギー価格高騰により、再生エネルギー関連産業の設備投資が期待される。
このような経営環境が見込まれる中、オークマグループは、グローバルでの顧客獲得、生産・業務効率向上による 収益確保と体質強化を図ると共に、スマートマシン、スマートファクトリーソリューションの強化を図り、自動化 システムの提案、脱炭素化対応等、「ものづくりDXソリューション」の提供を基本戦略として展開し、成長産業か らの需要を確実に取り込み、グローバル市場で成長を図っていく。
2022年10月より本社、可児、江南の国内3工場はカーボンニュートラル工場とし、あわせて脱炭素社会の実現に向 けて、「加工精度の安定性」と「エネルギー消費量の削減」の両立を自律的に行うことにより環境対応に貢献する 。オークマグループの工作機械を「Green — Smart Machine」と定義し、グローバルに展開する。精度と省エネの両 立という他では実現困難な、しかし顧客メリットの大きいソリューションを着実に提供していく。
また、新たに開発したCNC装置「OSP — P500」は、加工の高速・高精度化や知能化(AI)、デジタルツインの構築に加えて、人間中心のオペレーションと強固な情報セキュリティーを実現する新世代のCNC装置であり、 「OSP-P500」を第5次産業革命が目指すエコシステムや持続可能な生産システムのコアとして、スマート加工セル、 自動化ロボットによる自動化革新の展開に注力し、市場への浸透を図っていく。
このようなスマートマシン、スマートファクトリーソリューションを土台に、個々の顧客におけるものづくりのライフサイクル全体において、課題を解決し価値創造を提供する「総合ものづくりサービス」を展開していく。そして、「ものづくりサービス」の力を発揮することで、脱炭素社会の実現、労働人口減少等、社会課題の 解決に貢献すると共に、当企業グループの成長を図り、「世界の製造業における社会課題を解決する企業」を目指していく。
2023年3月期連結業績予想は、売上高2,250億円(前期比30.2%増)、営業利益255億円(同76.3%増)、経常利益275億円(同76.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億円(同72.7%増)と上方修正した。