・マリーナベイエリアの大型地域冷房プラント向け
・低環境負荷の高効率ターボ冷凍機で28ヵ所の供給先をカバー、マリーナベイエリアの地域冷房システム拡大に貢献
・三菱重工グループの技術・アフターサービスの信頼性、ターボ冷凍機の環境性、経済性、豊富な納入実績に高い評価
三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ(東京都千代田区)と三菱重工のアジア地域拠点であるシンガポールのMitsubishi Heavy Industries Asia Pacific Pte. Ltd.(MHI-AP)は10月4日、シンガポールのマリーナベイエリアにある大型地域冷房プラント向けに大容量ターボ冷凍機「GARTシリーズ」2台(総冷房能力8,400冷凍トン)を納入したと発表した。三菱重工グループの技術・アフターサービスの信頼性ならびにターボ冷凍機の環境性、経済性、豊富な納入実績が高く評価されたもの。これにより、三菱重工グループが同エリア向けに納入したターボ冷凍機は計18台となる。
今回納入したターボ冷凍機「GART-400PLS.SCF」の冷房能力は1台あたり4,200冷凍トンで、同プラントで採用されたターボ冷凍機としては最大の能力を有している。地球温暖化係数(GWP)(注1)が1未満と環境負荷の極めて低い冷媒「HFO-1234ze(E)」を使用でき、かつエネルギー消費量を抑えるため2台を直結して連動する方法を採用していることから、従来機と比較して定格COP(注2)が約6%、期間成績係数(IPLV)(注3)が約10%向上しており、CO2排出量も9%(注4)削減できる。
ビジネス・観光の中心地であるマリーナベイエリアは、持続可能なライブワークプレイ地区(住みやすく、働きやすく、楽しみやすい地区)として計画されており、空調システムの大部分には、地域に供給する冷水を2ヵ所のプラントで集中的に製造する地域冷房システムが採用されている。この中でターボ冷凍機は、地域冷房プラントの中核となる高効率な熱源機として重要な役割を担っている。シンガポールの電力・ガス事業を担うSPグループが設計から運営までを行う同エリアの地域冷房システムは、世界最大の地下ネットワークとしてさらに拡大を続けており、2026年までに計28ヵ所の供給先をカバーする。これにより、年間約2万トンのCO2排出量削減に貢献できる見込み。
三菱重工サーマルシステムズは、地域冷暖房、工場空調向けなどに多数のターボ冷凍機を供給し、同分野で国内トップシェアを誇る。また、MHI-APは2008年4月の大型冷凍機部門の設立以来、シンガポールおよび東南アジアの販売・サービスにおける顧客ニーズへの迅速な対応に取り組んでいる。今後も、引き続き顧客ニーズに応えるとともに、地球環境負荷の低いターボ冷凍機の納入を通じてカーボンニュートラル社会の実現にも貢献していく。
1 GWP(Global Warming Potential)とは、CO2を1とした係数で、値が小さいほど環境性に優れる。
2 COP(Coefficient of Performance)とは、定格条件において算出されたエネルギー消費効率を表す成績係数で、値が大きいほど省エネ性に優れる。COP=定格冷凍能力(kW)÷消費電力(kW)。
3 IPLV(Integrated Part Load Value)とは、年間運転時の負荷変動、冷却水温度の変動を考慮した、年間を通したエネルギー消費効率を表す期間成績係数で、値が大きいほど省エネ性に優れる。
4 シンガポールの気象条件とシンガポール地域冷房の想定負荷パターンを基に、従来機「AART-280PL.EX(冷房能力2,800冷凍トン)」3台と比較した試算。