・ニューヨークへの再生可能エネルギー供給を支援し、年間平均 390 万トンの CO 2 排出量削減に貢献
日立エナジーは9月21日、米国の再生可能エネルギー関連投資ファンドであるブラックストーンが出資する トランスミッション・デベロッパーズから、カナダ・ケベック州と米国・ニューヨークを結ぶ高圧直流送電(HVDC)連 系線「シャンプレーン・ハドソン・パワーエクスプレス」における、ニューヨーク側に設置される HVDC 変換所を受注 したと発表した。今回納入する HVDC 変換所は、日立エナジーの自励式 HVDC システム「HVDC Light®」を用いたもの。送電容量は、ニューヨークの約 100 万世帯の電力需要に相当する最大 1,250MW となる予定であり、 水力発電を中心とした再生可能エネルギーをカナダからニューヨークに送電し、化石燃料由来の電力と置き換えることで、年間平均 390 万トンの CO 2 排出量削減が見込まれる。これは、ニューヨークにおける乗用車 の年間 CO 2 排出量の 44%を削減することと同等の効果*1 。
シャンプレーン・ハドソン・パワーエクスプレスは、モントリオール郊外のハーテルからシャンプレーン湖、ハドソン川 を経由し、ニューヨーク・クイーンズ区アストリアまでの 600km 超を地中ケーブルおよび水中ケーブルで送電する HVDC 連系線。カナダの水力発電による電力をニューヨークに送電することで、ニューヨークが「気候リーダー シップと地域社会の保護に関する法律」において掲げる、2030 年までに電力供給の 70%を再生可能エネルギー発電で行うという目標達成への貢献が期待されている*2 。また、本連系線は建設期間中に 1,400 人以上の雇用を創出し、運転開始後 30 年間で、ニューヨーク州に約 500 億ドルの経済効果をもたらすと期待 されている。
日立エナジーのグリッドインテグレーションビジネスユニット担当役員のニクラス・パーソン氏は、「HVDC は、大容量の電力を都市に供給するための手段として非常に大きな可能性を秘めており、現在および将来における 持続可能かつ手頃な価格での電力供給にとって不可欠なものです。北米における再生可能エネルギーおよ びカーボンニュートラルへの移行という非常に重要なプロジェクトにおいて、当社が重要な役割を果たせることを 嬉しく思います。」と述べている。
トランスミッション・デベロッパーズの CEO のドナルド・ジェサム氏は、「日立エナジーの先進の HVDC 技術は、ニ ューヨーク州の約 100 万世帯に再生可能エネルギーを効率的かつ確実に送電することで、同州の気候変動 目標の達成を支援してくれるものです。今年末に建設が開始されること、そしてニューヨークの皆さんにクリーン かつ豊富な再生可能エネルギーを供給できることを楽しみにしています。」と述べている。
今回、ニューヨークの HVDC 変換所の設置工事は、北米の大手エンジニアリング・建設会社のキーウィット が担当する。日立エナジーは、キーウィットと連携し、両社の強みを生かして、最高のソリューションを提供する。
*1 参考:May 2021 PA Analysis Report (英語)
*2 参考:Champlain Hudson Power Express (英語)
■日立エナジーの HVDC について
日立エナジーの HVDC ソリューションは、HVDC 変換バルブおよびデジタル制御プラットフォーム MACH*3 、 変換用変圧器、高電圧開閉装置、システム調査、設計・エンジニアリング、供給、据付管理、試運転に 関する世界トップレベルの専門知識を結集したもの。
HVDC Light は、日立エナジーが開発した変換技術で、変換所がコンパクトかつ電力損失が極めて低い という特長を有しており、各国送電網の相互連系、再生可能エネルギーの連系、陸上から洋上への電力 供給など、多くの場面で活用されている。また、送電線設置のための用地確保が困難な都市部においても、大容量かつ高品質な電力供給を可能とする。 日立エナジーは、約 70 年前に商用 HVDC 技術を開発し、以来、世界の HVDC プロジェクトの半分以上を納入してきた。
*3 Modular Advanced Control for HVDC (MACH™)制御保護システム
■日立エナジーについて
日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダー。さまざまな分野の顧客に、バリューチェーン全体にわたる革新的なソリューションとサービスを提供するとともに、顧客やパートナーとの協創により、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換に必要な、デ ジタル技術を活用した変革を実現する。日立エナジーは、社会価値、環境価値、経済価値のバランスを取りながら、世界でより持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを構築する取り組みを進めている。スイス・チューリッヒに本社を置き、全世界 90 カ国に約 38,000 人の従業員を擁しており、140 カ国以上の導入実績と、約 1 兆円の事業規模を有している。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進している。 金融・官公庁・自治体・通信向け IT サービスや顧客の DX を支援する「デジタルシステム&サービス」、エ ネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘ ルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルで つなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステ ム」の事業体制のもと、IT や OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用する Lumada ソリューションを通じて顧客や社会の課題を解決する。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、顧客との協創で成長をめざす。2021 年度(2022 年 3 月期)の連結売上収益は 10 兆 2,646 億円、2022 年 3 月末時点 で連結子会社は 853 社、全世界で約 37 万人の従業員を擁している。