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西松建設など、山岳トンネル無人化施工に向けて着実に前進

 西松建設は7月27日、ジオマシンエンジニアリング(東京都荒川区)、㈱カナモト(北海道札幌市)、古河ロックドリル(東京都千代田区)と共同で、山岳トンネルの施工に用いるドリルジャンボによる一連の施工動作を無人化する『Tunnel RemOS-Jumbo(トンネルリモスジャンボ)』を開発したと発表した。

 西松建設では、かねてより山岳トンネル施工重機の遠隔操作技術・自動化技術を組み合わせた山岳トンネル無人化施工システム『Tunnel RemOS(トンネルリモス)』の開発を進めている。

 今回開発したドリルジャンボ遠隔操作システム「Tunnel RemOS–Jumbo」は、『Tunnel RemOS』の取り組みの一つで、「Tunnel RemOS-WL」、「Tunnel RemOS-Meas.」、「Tunnel RemOS-Lining」、「TunnelRemOS–RH」に続き5つ目の要素技術となる。

■ 開発の背景
 建設業では、ベテラン技術者の引退や若手入職者の減少によって、将来的に施工品質の低下や労働力の不足が懸念される。また、山岳トンネル工事では切羽における肌落ち災害がたびたび発生しており、作業員が切羽に立ち入る機会の削減、さらには切羽作業の無人化が課題となっている。

 このような背景から、西松建設ではトンネル施工重機を対象とした無人化施工技術の開発に取り組んでいる。

 今回実証確認を行ったドリルジャンボは爆薬装填のための削孔、ロックボルト工、削孔検層等の多くの場面で用いられることから、無人化による安全性や施工品質の向上、省人化等の効果が大いに期待される。

■ システムの概要
 今回開発したドリルジャンボ遠隔操作システム『Tunnel RemOS-Jumbo』により、ドリルジャンボの走行から削孔までの坑内での一連の施工動作(①~③:リリース参照)を無線で遠隔操作することが可能。

 切羽から離れた位置に配置された遠隔操作室には、走行のためのレバーやペダル、削孔のための操作盤を備えたコクピットや、映像を映すためのモニタが設置されており、切羽近傍の作業状況動画、音、振動を体感することができるため、実機に搭乗している状態に近い感覚でドリルジャンボを遠隔操作することができる。また、切羽作業に合わせて遠隔操作室内の設定を切り替えることで、共通の設備を用いて他の重機も遠隔操作することが可能。

 ドリルジャンボには、遠隔操作室からの操作信号に基づいて機体を制御するための機体制御盤や、機体の周囲や切羽を映すための複数のフルHD カメラを搭載している。また、遠隔操作室からの操作信号やドリルジャンボ側で取得された各種データは、坑内と機体に設置した無線通信設備によって伝送されるため、無線での遠隔操作に加え、地山評価のための削孔データや将来の自律施工に向けた施工データの取得が可能となっている。

 なお、同システムは古河ロックドリル社製の全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』をベースに開発を進めており、同社独自の遠隔削孔技術『遠隔穿孔操作システム』と西松建設の『Tunnel RemOS』を融合させることでドリルジャンボによる一連の施工動作を遠隔操作可能とした。

■ 実証試験の状況と今後の展開
 鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線建設局発注の「北海道新幹線、磐石トンネル(北)他工事」にて実証試験を行った結果、施工に影響を及ぼす通信上の不具合は生じず、ドリルジャンボによる一連の施工動作を無線で遠隔操作可能であることを確認した。今後は、削孔後の爆薬の装填やロックボルトの挿入、長尺削孔時のロッドの継ぎ足し等も遠隔操作で実施可能とするためにシステムの改良を進めていく。

 西松建設は、山岳トンネル施工に使用する各重機の遠隔無人化・自動化技術を効果的に組み合わせた“山岳トンネル無人化施工システム(Tunnel RemOS)”の開発に関する取り組みを続け、2023 年度までに各技術の実証試験を完了し、2027 年度までの実用化を目指す。

※補足:2022 年1 月31 日 リアルタイムな地山評価により山岳トンネルのさらなる安全性向上や合理的施工を実現

 詳細は、ニュースリリース

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