・MHIENG独自のCO2回収技術で、温室効果ガス排出削減に向けた課題解決に対応
・三菱重工製ガスタービンによるGTCC方式も導入、グループ一体となって顧客の脱炭素化を支援
・同地域に設立した営業拠点により商談が活発化するカナダ市場へ本格進出
今回FEEDの対象となるCO2回収プラントは、キャピタル・パワー社がアルバータ州に保有するジェネシー発電所の1、2号機向けに設置予定で、MHIENGが関西電力と共同開発したCO2回収技術である「Advanced KM CDR Process™」が採用される。総CO2回収量は約300万トン/年と大規模なものとなり、回収したCO2は地下に貯留される予定。FEEDの実施に当たっては北米の大手建設会社であるキーウィット・エナジーグループ(Kiewit Energy Group Inc)をパートナーに選定し、キャピタル・パワー社が計画するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)プロジェクトの実現に向け3社が連携して遂行する。
またキャピタル・パワー社は、石炭から天然ガスへの燃料転換による温室効果ガス排出削減に向け、三菱重工製ガスタービンによるGTCC方式の導入を進めている。同方式による1号機の稼働が2023年、2号機については2024年の予定であり、三菱重工グループ一体となって、発電設備・CO2回収システムの両面から全体最適化と顧客の脱炭素化を支援している。
カナダは、英国・欧州・米国といった地域と同様に、政策や制度整備も含めCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)の導入を積極的に推進しており、CO2回収を目的とした商談が活発化している。MHIENGは2022年5月、カナダに脱炭素事業の営業拠点を設立しており、顧客へのタイムリーな営業活動を可能とすることで、こうした潮流に同社の強みとスピードを持って対応し、事業機会の拡大を図る。
三菱重工グループでは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでおり、CO2エコシステムの構築はその中の柱の一つ。CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUSは、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されている。エナジートランジション戦略の一翼を担うMHIENGは、高性能なCO2回収技術をグローバルに展開することを通じて、脱炭素分野のリーディングカンパニーとして地球規模での温室効果ガス排出削減に貢献するとともに、地球環境保護に寄与するソリューションのさらなる開発に向けた取り組みを継続していく。
■キャピタル・パワー社について
アルバータ州エドモントンに本社を置くカナダ最大級の電力会社で、北米で27ヵ所、約6,600MWの発電設備を有する他、再生可能エネルギーや火力を含む高品質な発電設備を保有・運営している。同社は持続可能なエネルギーを成長戦略として掲げ、2023年に石炭利用をなくすことを目標に、脱炭素化に向けた積極的な投資を進めている。
■キーウィット・エナジーグループについて
ネブラスカ州に本社を置く北米最大級の建設・エンジニアリング会社で、米国、カナダ、メキシコなどの豊富なネットワークを通じ、世界中のさまざまな分野において、優れた建設およびエンジニアリングサービスを提供している。MHIENGは過去にも同社とプロジェクトを手掛けた実績があり、今回も信頼出来るパートナーとしてともに同プロジェクトに取り組んでいく。
■MHIENGのCO2回収技術について
MHIENG(当時、三菱重工)は、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術KM CDR Process™やAdvanced KM CDR Process™の開発に取り組んでおり、この分野における世界のリーディングカンパニー。2022年7月現在、KM CDR Process™を用いたプラントを14基納入しており、現在、さらに2基建設中。今回採用が決定したAdvanced KM CDR Process™には、これまで納入した商用のCO2回収プラント14基全てで採用されているアミン吸収液KS-1™に技術改良を加えたKS-21™が採用されており、KS-1™と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションを確認している。