第1四半期における安川電機グループの経営環境は、製造業全般における生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が継続的に行われた。特に半導体・電子部品市場では需要が拡大を続け、自動車市場におけるEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資が積極的に行われた。一方、中国においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う都市封鎖(ロックダウン)の 影響を大きく受け、設備投資は停滞した。
■第1四半期における地域別の経営環境
日本:半導体・電子部品市場をはじめ自動車市場などで需要は堅調に推移した。
米国:自動車・半導体関連の需要が力強く伸長し、労働力不足・人件費高騰を背景 とした自動化投資が継続した。また、オイル・ガス関連需要も回復傾向 にあるなど、総じて拡大基調となった。
欧州:製造業においてはロシア・ウクライナ問題による影響は限定的に留まり、自動化投資が継続して行われるなど、自動車や繊維・木工機械などを中心に需要は伸長した。
中国:EV化の加速による自動車関連やリチウムイオン電池・太陽光発電用パネルな どのニューインフラ関連の需要は堅調に推移したものの、コロナ禍によるロ ックダウンの影響を大きく受け、設備投資は停滞した。
中国除くアジア:韓国や台湾において半導体・電子部品関連の需要が高水準で推移したことに 加え、韓国ではEV化やリチウムイオン電池関連の設備投資が伸長した。
■セグメント別業績
<モーションコントロール>
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されている。米国などを中心とした積極的な設備投資が継続したものの、中国のコロナ禍におけるロックダウンの影響を大きく受け、売上収益は前年同期に対し減少した。利益面においては、中国での売上減少 に伴う利益の減少やグローバルでの原材料費の高騰影響などにより減益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕 日本・米国・韓国などで、半導体・電子部品需要が高い水準で継続した。中国においてはEV化 やリチウムイオン電池・太陽光発電用パネルなどの成長市場での需要は堅調に推移したものの、販売面においてはロックダウンによる物流の混乱などにより、売上収益は伸び悩んだ。
〔インバータ事業〕 米国においてコロナ禍からの正常化に伴う需要や、オイル・ガス関連の設備投資の増加などにより 販売は好調に推移した。一方、中国においてはロックダウンによる影響を大きく受け、事業全体の売上収益は減少した。
<ロボット>
売上収益 445億20百万円 (前年同期比+9.5%)/営業損益 33億24百万円 (前年同期比 +61.9%)
ロボットセグメントの主要市場である自動車においては、EV化がグローバルで加速し、リチウムイオ ン電池をはじめ関連する生産設備の投資を拡大する動きが継続した。一般産業分野においても人協働ロボット等の活用を通じた生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われるなど、市場全体で好調に推移した。また、半導体・電子部品市場の需要拡大を背景に半導体ロボットの販売も好調に推移した。これらの状況に加え、塗装・シーリングロボットのシステムメーカーであるドゥリム安川を新規連結した影響もあり、売上収益・営業利益はともに前年同期比で増加した。
<システムエンジニアリング>
売上収益 143億27百万円 (前年同期比+4.3%)/営業損益 10億42百万円 (前年同期比 +72.9%)
システムエンジニアリングセグメントは、産業用オートメーションドライブ事業と環境エネルギー事 業とで構成されている。売上収益は環境エネルギー事業を中心に前年同期比で増加し、営業利益は構造改革の効果や経費抑制 の継続などにより増加した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕 アジアなどの港湾クレーンやリチウムイオン電池の生産設備向けの需要が高い水準で推移した。
〔環境エネルギー事業〕 大型風力発電用電機品および太陽光発電用パワーコンディショナについては、案件の着実な獲得に より販売は堅調に推移した。
<その他>
売上収益 58億38百万円 (前年同期比+24.7%)/営業損益 83百万円 (前年同期比 △41.2%)
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。売上収益は国内を中心に前年同期から増加した一方、営業利益は製品構成の変化などにより減少した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期連結業績予想については、中国のロックダウンや部品不足により生産に影響を受けているものの、製造業全般において生産の高度化・自動化を目的とした積極的な設備投資が継続するなど受注は好調に推移しているため、2022年4月8日公表(下記)の予想を据え置いた。
売上収益5,250億円(前期比9.6%増)、営業利益720億円(同36.2%増)、税引前利益740億円(同33.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益525億円(同36.9%増)。
なお、2022年6月1日から2023年2月28日までの期間における平均為替レートについては、2022年4 月8日に公表した想定レートより変更していない。 (1ドル=120.0円、1ユーロ=133.0円、1元=19.00円、1ウォン=0.100円)