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清水建設、山岳トンネル工事のロックボルト打設を完全機械化

・2ブーム打設専用機を導入し、切羽直下での人力作業を排除

 清水建設は6月24日、山岳トンネル工事の安全性・生産性の向上を目的に、古河ロックドリル(東京都千代田区)と共同で、ロックボルトの遠隔打設装置(ボルティングユニット)を2基装備した「2ブームロックボルト打設専用機」による遠隔施工システムを構築し、東海北陸自動車道真木トンネル工事(富山県)に実証導入したと発表した。同現場での実証施工では、穿孔からモルタル充填、ロックボルト挿入に至る一連の打設作業の完全機械化に成功し、災害リスクの高い切羽直下での人力作業を不要にするとともに、サイクルタイムの短縮や施工の省人化にも効果があることを確認できたとしている。

 山岳トンネル工事では、掘削後の地山の崩落・変形を防ぐための支保工として、ロックボルトと呼ばれる鋼棒を切羽周辺の地山に放射状に打設する。ロックボルトの打設は、穿孔、モルタル充填、ロックボルト挿入の繰り返し作業であり、穿孔以外の作業は人力に依存しているのが現状。切羽直下で重量物を扱う苦渋作業から作業員を解放し、施工の安全性を確保するには、モルタル充填・ロックボルト挿入を含む全打設プロセスの機械化が求められる。

 2ブームロックボルト打設専用機に装備するボルティングユニットは、穿孔用装置、モルタル充填用装置、ロックボルト格納用マガジン、ロックボルト押込み用装置を一体化した遠隔打設装置。同システムでは、オペレーターがボルティングユニットを装着した2つのブームをキャビン内から遠隔操作することで、切羽直下での人力作業を排し、ロックボルト打設の完全機械化を実現する。

 打設作業に際しては、事前に両ブームの動作パターンを3Dシミュレーションで検証し、1サイクルの打設効率を最大化する施工計画を導出する。打設時には、キャビン内のコントロールパネル画面のナビゲーションに従い、ブームの移動、穿孔、モルタル充填、ロックボルト挿入といった一連の機器操作を順に進めていく。作業中、穿孔位置やロックボルトの挿入位置・角度、モルタル注入量等の施工データがパネル画面でリアルタイムに可視化され、計画値と照らし合わせながら作業を進められるため、出来形精度の向上や施工品質の均質化を図ることができる。

 東海北陸自動車道真木トンネル工事での実証施工では、1サイクル・13本のロックボルト打設が35分で完了し、一般工法と比べてサイクルタイムを約10%短縮できることを確認した。また、作業人員についても、一般工法では5名を要していた作業を3名で施工することが可能になった。

 清水建設は今後、運用現場での課題抽出・機能改善を通じて、2ブームロックボルト打設専用機による遠隔施工の実効性を高め、山岳トンネル工事の標準技術として広く展開していく考え。

 詳細は、ニュースリリース

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