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コベルコ建機、グローバル生産体制を再編、中国生産拠点の集約とインド生産拠点の生産能力を増強

 ㈱神戸製鋼所の 100%子会社であるコベルコ建機は6月24日、約60億円を投じ、中国にある生産子会社の杭州神鋼建設機械有限公司(中国浙江省杭州市、以下HKCM)を、同じく中国にある製販子会社の神鋼建機(中国)有限公司(中国四川省成都市、 以下 KCMC)に集約することを決定。また、約12億円を投じ、インド子会社である KOBELCO CONSTRUCTION EQUIPMENT INDIA PVT. LTD.(以下 KCEI)のインド工場(アンドラ・プラディッシュ州)における油圧ショベルの製缶品生産能力を増強することを決定したと発表した。なお、既に発表している“北米油圧ショベル工場の譲渡”および“大垣事業所に おける生産能力増強”も含め、これらの実行によりショベル事業の一連のグローバル生産体制の再編・強化が完結することになる。(コベルコ建機の拠点一覧

1.足もとの事業環境

 世界の油圧ショベル需要は、新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みはあったものの、先進国では概ね安定的に推移しており、中国を除く新興国需要はエリアによる高低はあるものの、引き続き安定成長が期待できるものと見込んでいる。コベルコ建機においてもエリア毎の販売網強化や市場ニーズに 合わせた機種・仕様の拡充などを進めることで、今後も安定的に油圧ショベルの販売台数を伸ばしていく計画。

 一方で、近年世界需要の約半分を占めてきた中国市場は減退傾向が進むと同時に、中国国内メーカーの攻勢も高まり、足元で外資メーカー比率は 2 割程度(2018 年には約 5 割)まで落ち込んでいる。加え て、販売価格の低下も顕著となり、中国事業を大きな収益の柱としていた KOBELCO グループの建機事業への影響は避けて通れないものとなっている。

2.生産・供給体制再編と設備投資の概要

 今回のショベル事業おける一連のグローバル生産・供給体制再編は、中国における市場環境の変化を踏まえ、グローバルな視点で最適な供給体制に見直しを図ることで収益安定化と生産コストの低減を実現する。

①中国の生産拠点を KCMC へ集約
 現在2拠点(HKCM・KCMC)で行っている中国国内向けの油圧ショベル生産を KCMC に集約する。これにより、中国における生産(組立)能力は現在の 10,500 台/年から 5,500 台/年に縮小する。併せて、HKCM の有していた製缶品の供給能力は、一部を KCMC に移管し、残りの多くはインド工場へ移管する。段階的に移管を進め、2023 年 1 月頃の移管完了を予定している。中国における生産能力を事業環境に即した規模に見直し、固定費を削減することで収益安定化を 目指す。

②KOBELCO CONSTRUCTION EQUIPMENT INDIA PVT. LTD.(以下、KCEI)の生産能力増強

 コスト競争力のある KCEI を新たに油圧ショベルの製缶品の供給拠点と位置づけ、製缶品の生産能力を足元の 3,000 台/年から 4,700 台/年まで高め、主としてコベルコ建機タイ工場(KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY SOUTHEAST ASIA CO., LTD.)への供給拠点する。

③KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY U.S.A. INC.(以下、KCMU)北米工場の譲渡

 コベルコ建機の米国子会社である KCMU の北米工場はエンジンの認証問題により 2021 年 5 月より稼働を停止していたが、㈱竹内製作所に約 39.5 億円で譲渡した。北米工場で生産していた油圧ショベルは五日市に生産を移管し、競争力を高める。

④コベルコ建機大垣事業所の生産能力増強

 コベルコ建機大垣事業所内に、3,000 台/年の能力の油圧ショベル組立ラインを新設することにより、 生産能力を現状の 8,500 台/年から 11,500 台/年まで高める。新設する組立ラインは、広島事業所 五日市工場の生産メニューである 7t クラスと大垣事業所の既存ラインで生産していた 5t クラスの 2 クラスの組立専用ラインとすることで、五日市工場との補完体制を構築し、台数変動に応じた柔軟な生産を可能にする。また、組立ライン新設に併せて同事業所の製缶品の供給能力も増強する。

3.関連費用とスケジュール

4.グローバル生産体制の再編による効果

 今回、中国事業の事業最適化を確実に行うとともに、高需要エリアに対する生産能力増強、インド 事業の収益体制強化を実現することで、年間 100 億円規模(すべての投資が完了する 2024 年度以降) の収益効果を見込んでいる。

 コベルコ建機はこれからも『ユーザー現場主義』に基づき、更なる技術の発展に努め、さらなる商品価値 の提供を目指すことはもちろんのこと、その礎となる製販が連動した高度かつ安定した事業運営を目指す。また、KOBELCO グループは、今後も「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」を実現するために、個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづけるとしている。

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