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北川鉄工所、21年度売上は20.4%増の586億円、22年度予想は7.4%増の630億円

 ㈱北川鉄工所が5月13日に発表した2022年3月期(2021年度)連結業績によると、売上高はグループ全体で、58,676百万円(前期比 20.4%増)、営業利益は、2,101百万円(同 281.3%増)、経常利益は、3,062百万円(同 162.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は、951百万円(前期は+244百万円)となった。

 2021年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及により先進国を中心に持ち直しの動きが見られたものの、半導体の供給不足や原材料の価格高騰、部品の調達難航など依然として厳しい状況は継続している。加えて、2月にはロシア軍がウクライナ国内に軍事侵攻を行うなど、先行きが見通せない状況である。また、わが国の経済についても、サプライチェーンの停滞や地政学的リスクの上昇など、今後も不透明な状況が続くと思われる。

 このような状況のなか、北川鉄工所グループでは、金属素形材事業においては自動車部品の供給不足が未だ解消されておらず、原材料の価格高騰についても高騰分の販売価格への転嫁の遅れから売上は回復基調で推移したが収益は依然厳しい状況となっている。そのためメキシコ子会社、タイ子会社の資産に対して減損損失3,705百万円を計上している。一方、産業機械事業においては、国内建設市場が高水準で推移しており好調を維持し、工作機器事業も欧米の経済活動の活発化など世界経済の持ち直しの動きに伴い、回復傾向で推移した。

 北川鉄工所2021年3月期データ

■セグメント別業績

〔キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)〕

 自動車関連業界においては、新型コロナウイルス感染症の流行に起因する部品の供給不足や半導体不足が継続しているが、市場は少しずつ回復に向かっている。また、農業機械・建設機械関連業界においても、北米及び欧州を中心に市場が活況であり好調を維持した。

 このような状況のもと、同カンパニーにおいては、国内外の生産拠点間の連携強化や生産ラインの自動化による生産性改善などに取り組み収益力の向上を図るとともに、脱炭素社会移行に伴う事業機会や付加価値の高い製品への移行など、事業課題の解決に向けた活動を行ってきた。また、メキシコ子会社では、自動車の次期モデルに搭載される部品の量産に向けて準備を進め、タイ子会社では生産アイテムの見直しによる収益改善に注力した。

 自動車メーカー各社の生産調整は依然として続いているものの、原材料価格高騰分の一部分については、販売価格への転嫁が進み、自動車部品及び農業機械・産業機械部品ともに売上高が増加したものの利益について当初の材料費負担の影響が残った。

 その結果、同カンパニーの売上高は、27,026百万円(前期比 16.5%増)、セグメント損失(営業損失)は、224百万円(前期セグメント損失(営業損失)664百万円)となった。

〔キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)〕

 国内の建設業界においては、公共工事は高水準を維持し、民間設備投資についても概ね回復基調で推移した。また、同カンパニーの関連分野においても、輸入資材や原油の価格高騰、鋼材不足による工程の遅れなどの問題はあるものの好調を維持した。

 このような状況のもと、コンクリートプラント事業では、新商品の販売拡大や既存商品の品質向上に努めた。荷役機械関連事業では、新規市場の開拓を進めるとともに生産機能を甲山工場に集約することで効率的な生産体制を構築し、収益性を向上させてきた。自走式立体駐車場事業ではスーパーロングスパンタイプ立体駐車場の市場認知度の向上を図ってきた。

 コンクリートプラント事業についてはプラントの建替工事が好調で売上高が増加した。荷役機械関連事業も高水準の売上高を確保し、自走式立体駐車場事業も商業施設及び医療施設向け大規模物件を完工したことにより売上が増加した。

 その結果、同カンパニーの売上高は、21,336百万円(前期比20.5%増)、セグメント利益(営業利益)は、2,381百万円(前期比30.4%増)となった。

〔キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)〕

 工作機械関連業界においては、資材調達の難航、物流の停滞による輸出コストの上昇等の懸念は残るものの、国内外を問わず半導体関連及び自動車関連の設備投資が積極的に行われ回復傾向で推移した。内需については、補助金関連により設備投資が活発化し、堅調に推移した。外需については、中国が先行して回復し、2021年後半からは欧米も回復傾向で推移し、好調な受注を維持した。

 このような状況のもと、同カンパニーにおいては、パワーチャックの高付加価値商品であるBRシリーズの生産性向上及び販売拡大に注力した。なお、「BRチャック」と「Tnut-Plus」に関する技術が2021年度日本機械学会賞を受賞している。また、ホームページ上にウェブショールームを開設し、最新の商品情報や技術情報の発信に努めました。さらに、ロボット周辺機器市場での事業化を推進するために、新規市場開拓に向けたアカウントの獲得やロボットハンドのラインナップ拡充などを行ってきた。

 その結果、同カンパニーの売上高は、9,807百万円(前期比31.4%増)、セグメント利益(営業利益)は、1,051百万円(前期比122.0%増)となった。

■今後の見通し

 今後の経済情勢としては、世界経済は、ワクチン接種の普及により新型コロナウイルス感染症による厳しい状況からは緩やかに回復するものと予想されるが、ロシア軍によるウクライナ国内への軍事侵攻に伴うロシアへの経済制裁など地政学的リスクが急激に高まっており、予断を許さない状況が続くものと考えている。わが国の経済についても、ワクチンの追加接種及びまん延防止等重点措置など新型コロナウイルス感染症を封じ込める各種施策の実施により、今後は持ち直しの動きが見られるものと予想されるが、軍事侵攻を行ったロシアに対する経済制裁の実施やそれらに起因する資源価格の上昇など不透明な状況が続くと思われる。

 このような状況のもと、北川鉄工所グループでは、需要変動に対応した柔軟な生産体制の構築、徹底したコスト削減など、収益力の向上に取り組むとともに財務基盤の強化を図っていく。また、脱炭素社会に生ずる新規市場の開拓や国際競争力の強化、DXの推進による業務改善など持続的成長に向けた事業運営に注力していく。

 2023年3月期(2022年度)の業績予想については、売上高は 63,000百万円(前期比7.4%増)、営業利益28億円(同33.3%増)、経常利益33億円(同7.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 17億円(前期は△9億51万円)を見込んでいる。

■次期の事業セグメントごとの主な戦略は次のとおり。

〔キタガワ マテリアル テクノロジー カンパニー(金属素形材事業)〕

 品の供給不足による自動車メーカーの生産遅れや原材料価格の高騰等の問題は解消されるまで長期間を要すると予想され、今後も市場の下振れリスクは残るものの、自動車関連業界は緩やかに回復することが見込まれている。建設機械・農業機械関連業界も、北米及び欧州を中心に市場が好調であり、市場規模は新型コロナウイルス感染症の流行前を上回る見通しである。

 このような状況のもと、同カンパニーにおいては、生産性改善による競争力の強化、商品戦略の見直しによる収益性の向上、脱炭素社会への移行を想定した新規顧客の開拓及び新規部品の受注に注力する。海外拠点であるメキシコ子会社は受注部品の量産に向けた生産体制の強化、タイ子会社は生産ラインの縮小により収益確保に努めていく。以上により、売上高は 28,700百万円、営業利益は 310百万円を見込んでいる。

〔キタガワ サン テック カンパニー(産業機械事業)〕

 国内の建設業界は、公共工事については防災・減災対策、都市開発などの施策に対して一定規模の投資が行われる見込みである。また、民間工事についても、鋼材の値上り及び資材の供給遅れ等の懸念はあるものの、企業の設備投資は堅調に推移し、全体としては安定的に推移するものと見込まれている。

 このような状況のもと、同カンパニーにおいては、既存事業の収益力強化を基本とし、コンクリートプラント事業は顧客との関係強化による売上シェアの向上に努めていく。荷役機械関連事業は遠隔操作及び自動運転システムの開発を推進し、自走式立体駐車場事業はスーパーロングスパンタイプ立体駐車場の市場認知度の向上を図る。また、脱炭素社会移行により需要の増加が見込まれる環境機器についても、市場シェアの拡大及び新規市場の開拓に注力していく。以上により、売上高は 22,650百万円、営業利益は 2,100百万円を見込んでいる。

〔キタガワ グローバル ハンド カンパニー(工作機器事業)〕

 工作機械関連業界は、原材料価格の高騰、部品調達の難航及び物流停滞による輸出コスト上昇など懸念材料はあるが、市場の回復スピードは加速しており、電気自動車関連及び半導体関連の設備投資が増加し、市場は好調に推移していくものと見込まれる。

 このような状況のもと、同カンパニーにおいては、品質保証体制の強化に加え、新たな生産体制の構築による生産性の改善、海外ローカルユーザーの開拓による海外販売網の拡大など、市場競争力の向上とグローバル展開に向けた課題に取り組んでいく。さらに産業用ロボット周辺機器市場での事業化を推進するとともに、原価改善による収益性の強化にも注力していく。以上により、売上高は 10,750百万円、営業利益は 1,390百万円を見込んでいる。

 北川鉄工所の 2022年3月期 決算短信

 

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