・軸受の供給から異常検知、メンテナンスまでワンストップで提供
NTNは5月16日、風力発電に特化したメンテナンス事業を行う㈱北拓(北海道旭川市、以下、北拓)と提携し、風力発電装置向けのメンテナンスを開始すると発表した。
NTNの状態監視システム(CMS)による高精度な軸受の異常検知と不具合部位の特定技術をもとに、北拓が持つ豊富な実績やノウハウを活用し、迅速に的確な設備点検ならびに保全対応を提供する。さらに、実機の損傷状況を検証することで、CMSデータ解析のさらなる高精度化や各種軸受の性能向上にもつなげていく。
北拓との提携により、顧客の風力発電装置の状態監視、早期異常検知、補修、交換などの運用保守業務をサポートし、設備の高効率化と安定稼働を実現するとともに、カーボンニュートラルの達成に向けて、再生エネルギーの有効活用と風力発電市場の拡大に寄与していく。
風力発電装置は、悪天候によるブレード損傷や経年劣化による故障などが発生する場合があり、その際は、速やかに設備点検を実施し、適切な部品交換やメンテナンスを行う必要がある。故障につながる異常の発見が遅れると、部品や機材の手配が間に合わず、長期間にわたる稼働停止時間(ダウンタイム)が発生すると。
NTNは、2012年より風力発電装置用状態監視システム(CMS)「Wind Doctor(R)」の販売と本システムによるモニタリングサービスの提供を通じて、設備の異常の早期検知に貢献した。同システムは、風力発電装置内の軸受周辺に取り付けたセンサから振動などのデータを収集・分析することで、軸受周辺の異常を早期に検知することが可能。異常の検知に加え、不具合部位も特定できるため、設備点検時間の短縮にも寄与する。現地の設備診断には技能員のノウハウが必要とされていたが、「Wind Doctor(R)」を用いることで速やかな異常の把握が可能となる。
これまでは「Wind Doctor(R)」の診断結果に基づいてNTNから異常報告を行った後は、顧客が設備点検やメンテナンスの手配をされていた。今回の提携により、補修軸受の手配を含めた一連の業務をNTNが一括して行うことが可能となり、顧客の手配工数を削減できるだけではなく、異常の検知後に速やかにメンテナンスを実施することで稼働停止時間を最小限に抑える。また、メンテナンスの際に「Wind Doctor(R)」のデータを活用して、これまでにない迅速で的確な処置を実現する。またCMSデータと詳細な損傷状況を比較検証することで、データ解析技術のさらなる高精度化や各種軸受の性能向上につなげていく。
今後、風力発電装置の大型化が進み、設備の安定稼働には状態監視の精度向上と正確なデータ解析結果に基づく適切なメンテナンスが一層重要になる。NTNは北拓との提携を通じて、高性能な軸受の供給からCMSによる高精度な異常検知、正確かつ効率的なメンテンナンスまで風力発電装置の運用に必要となる一連のサービスをワンストップで提供できるサプライヤーとして、風力発電装置の安定稼働と市場拡大に貢献していく。