これらの結果、営業損失72億2千2百万円(前年同期は営業損失28億1千万円)、経常損失69億2千9百万円(前年同期は経常損失19億2千1百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失95億7千5百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失57億3千8百万円)となった。
■経営成績の概況
2021年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る一方、ワクチン接種の普及や公共投資等の施策により持ち直しつつあり、建設機械の需要も緩やかながら回復基調にある。しかし、鋼材をはじめとする原材料価格や原油価格の高騰、半導体不足等によるサプライチェーンの混乱に加え、中国の景気後退やロシアのウクライナ侵攻等、業界を取り巻く事業環境は依然として厳しく、不安定な状況が継続している。
このような状況下、加藤製作所は経営基盤の強化と事業構造改革を経営課題に掲げ、抜本的な収益力と体質改善に向けたプロジェクト(KATO Reborn Project)を立ち上げ、全社をあげて様々な施策に取り組んだ。営業部門では、売上や販売台数の確保から利益重視へ販売戦略を転換するとともに、製造部門における外注業務や調達部門の発注部品の見直し等、変動費やコストの削減も併せて推進した。さらに棚卸資産の削減や事業外遊休地の売却等、財務体質の改善にも努めた。
■セグメント別の経営成績
① 日本
国内の油圧ショベル等は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、売上高は114億6千3百万(前年同期比107.3%)となった。
海外向け油圧ショベル等は、北米向けの増加により、売上高は58億7千9百万円(前年同期比138.9%)となった。
日本の売上高は544億5百万円(前年同期比106.1%)、セグメント損失は23億3百万円(前年同期はセグメント損失25億1千1百万円)となった。
② 中国
中国は、インフラ投資の鈍化や地場メーカーの販売攻勢により、厳しい販売環境にて推移した。中国の売上高は60億5百万円(前年同期比89.8%)となり、貸倒引当金繰入額51億5千5百万円を計上した結果、セグメント損失は51億6千9百万円(前年同期はセグメント利益3億4千9百万円)となった。
③ その他
その他の地域は、欧州においてEUコロナ復興基金によるインフラ投資の拡大に伴い、油圧ショベル等の需要が拡大し、売上高は58億2千1百万円(前年同期比197.9%)となり、セグメント損失は1億3千8百万円(前年同期はセグメント損失10億6千3百万円)となった。
■品目別売上高の状況
① 建設用クレーン
② 油圧ショベル等
国内売上高は、公共工事・民間工事の回復から需要は堅調に推移し、114億6千3百万円(前年同期比107.3%)となった。海外売上高は、中国において景気後退により減少したものの、北米・欧州での需要が増加したため、138億2千5百万円(前年同期比120.6%)となった。よって、油圧ショベル等の売上高は252億8千8百万円(前年同期比114.2%)となった。
③ その他
その他の売上高は、10億9千6百万円(前年同期比68.4%)となった。
■今後の見通し
加藤製作所グループは、中期経営計画を策定し2022年4月よりスタートした。その初年度となる2023年3月期の連結業績は以下の通りとなる見通し。
▽2022年3月期/2023年3月期(増減)
売上高:63,549百万円 64,100百万円(550百万円)
営業利益:△7,222百万円 1,300百万円 (8,522百万円)
経常利益:△6,929百万円 1,000百万円 (7,929百万円)
親会社株主に帰属する当期純利益:△9,575百万円 600 百万円(10,175百万円)
国内における新型コロナウイルス感染症の経済影響は持ち直しが想定される一方で、海外における新型コロナウイルス感染症の影響は地域差が大きくサプライチェーンは混乱が継続、加えてロシアによるウクライナ侵攻による原油高・物流費の高騰など、世界経済の先行きは不透明感が増している。
取り巻く市場環境については、国内ではコロナショックからの緩やかな回復基調は継続、中国ではゼロコロナ政策の影響により不透明感はぬぐえない一方、欧州・北米では油圧ショベル等の需要拡大が継続するものと想定している。中期経営計画では、収益性改善・強化、財務体質の改善、将来の基盤構築を3本柱とし、2022年3月までに実施した抜本的な収益構造の見直しにより、売上高は微増ながら、着実に利益が出せる体質への転換を図る予定。