日本製鉄は5月10日、名古屋製鉄所(愛知県東海市東海町5丁目3番地)次世代熱延ラインの新設を決定したと発表した。
自動車業界は、世界的な環境規制強化と衝突安全基準の厳格化が進んできたことに加え、カーボンニュートラルに対する社会的ニーズの高まりもあり、車体の軽量化・高強度化ニーズに伴う高機能素材の需要は一層高まっていくと想定されている。今後、普及が見込まれる電気自動車などの電動車においても、走行距離やバッテリー重量の問題により車体の軽量化・高強度化ニーズが一層高まるものと考えられる。
このようなニーズに応えるべく、日本製鉄は素材製造から走行時までの自動車ライフサイクル一貫での温室効果ガス排出量削減にも効果を発揮できる超ハイテン鋼板(*)等の高級薄板の生産体制を抜本的に強化する。
鉄鋼材料の可能性を徹底的に追求した技術開発部門の長年の研究成果を集大成し、世界最大の耐荷重の圧延機を備え、圧延制御性と温度制御性を飛躍的に向上させた次世代の熱延ラインを自動車鋼板製造の中核拠点である名古屋製鉄所に新設する。
なお新ライン立上げ後に現行設備を休止する。
日本製鉄は、車体軽量化・衝突安全性向上、温室効果ガス削減を高度に両立する、他素材を凌駕する優れた鉄鋼材料と次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe®-AutoConcept”等のソリューション提案を通じ、顧客への貢献と、カーボンニュートラル社会の実現を目指していく。
(*)超ハイテン鋼板:ハイテンはHigh Tensile Strength Steel(高張力鋼)の略称。
引張り強さが1.0GPa以上ある鋼板を超ハイテン鋼板という。
<新設熱延ラインの概要>
能力 : 約600万トン/年
稼働時期 : 2026年度第1四半期予定
投資額 : 約2,700億円
(現行熱延ラインは2026年度中に休止予定)