第2四半期連結累計期間における技研製作所グループを取り巻く事業環境は、国内では、年初からの新型コロナウイル スの変異株(オミクロン株)の流行により事業活動には一定の制約を受ける状況が続いた。そうした中、国内の 公共投資は高水準で底堅く推移しており、また、減少していた民間建設投資にも持ち直しの動きが見られたことなど により、顧客の設備投資意欲は緩やかな回復基調で推移した。しかし、電子部品類の供給不足や物流の混乱、原材料価格や建設資材価格の高騰などの影響は、軽微であるものの顕在化してきており、引き続き注視していく 必要がある。
国内における工法提案活動では、災害からの復旧・復興事業に加え、地震・津波・高潮に備える防潮堤の改修や、 耐震化・水害対策での海岸および河川の護岸改修など、将来に備える防災・減災、国土強靱化施策を中心に、高速道路リニューアルなどの道路延伸・改良事業や、岸壁を大水深化する港湾整備事業、ため池の耐震化対策、また、民間プラントの液状化対策や洪水対策の遮水壁など、インプラント工法※1の適用範囲の拡大に取り組んだ結果、工法採用は順調に増加した。
海外展開では、圧入原理の優位性を最大限に発揮し、建設の五大原則を高次元に遵守する工法提案活動に注力している。この活動による工事件数は着実に増加しており、インプラント工法の認知度を向上させている。海外の大 型案件については、オランダ・アムステルダム市の運河護岸改修に係る新技術開発プロジェクトでは、同案件のため に新開発した電動GRBシステム※2が1月末に現地に到着し、パイロット施工の準備を進めている。ブラジルの 鉱滓ダム防災対策工事では、本格的な工事に向けて、防護壁の施工計画や現地企業への日本人スタッフによる技術指導などを進めた。また、オーストラリアのシドニーフィッシュマーケット再開発プロジェクトで受注している基礎工事(仮締切工)でも、圧入施工を進めている。
技研製作所グループは、2022年8月期を初年度とする新たな「中期経営計画(2022年8月期-2024年8月期)」を発表した。長期事業展望に掲げた10年後(2031年8月期)の売上高1,000億円を目指して、圧入原理の優位性を活かした新ビジ ネスの創出に向け、具体的な取り組みをスタートさせている。その取り組みの一つとして、建設機械レンタル最大手の㈱アクティオとレンタル業務提携契約を締結した。アクティオが国内外に有する広域レンタルの営業網と、 技研製作所の製品への保守技術、オペレータ向け現場技術や営業などのノウハウを活かし、機械の供給体制を整え、新規顧客の開拓を進め、圧入市場の拡大を図る。
■セグメントの業績
<建設機械事業 >
顧客の設備投資意欲の回復に伴い、400mm幅U形鋼矢板用のサイレントパイラーF101、F111、SX1などの一般機の入れ替え需要や、900mm幅ハット形鋼矢板用のサイレントパイラーF301-900の新規導入需要などで、販売は堅調に推移したことにより、売上高は10,010百万円(前年同期比8.9%増)、セグメント利益は3,243百万 円(同30.3%増)となった。
<圧入工事事業 >
インプラント工法は、その優位性から緊急度や難易度の高い災害復旧、重要性の高い防災・減災対策や老朽化対策、高速道路をはじめとする交通ネットワークの機能強化などを目的として、海岸堤防や河川護岸などの治水施設 の整備、港湾施設の岸壁改良、道路復旧や地すべり対策、道路の延伸・改良などに広く採用されている。
このような状況のもと、圧入工事事業の売上高は4,208百万円(前年同期比2.5%増)となった。一方、 利益面においては、前期と比較して、人員増強等により販売費及び一般管理費が増加し、セグメント利益は624百 万円(同7.5%減)となった。
※1 インプラント工法:一本一本が高い剛性と品質を有した杭材を地中深く圧入し、地震や津波、洪水などの外力に粘り強く耐える「インプラント構造物」を構築する工法
※2 電動GRBシステム:完全電動化によりCO2排出ゼロを可能とする次世代の圧入システム
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期の業績予想について、2021年10月11日公表の業績予想(下記)から変更はない。
売上高30,000百万円(前期比8.6%増)、営業利益4,500百万円(同12.6%増)、経常利益4,550百万円 (同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,200百万円 (同4.1%増)。