㈱日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レール社は3月10日、アルストム社のグループ会社であるAlstom Ferroviaria社とイタリアの非営利の技術センターであるCeitと共にデジタル信号プログラムのプリンシパルパートナーとして、イタリアの鉄道事業者であるRete Ferroviaria Italiana(以下、RFI)から、 イタリア全土の 700km の鉄道路線で活用される欧州共通の列車制御システム (European Rail Traffic Management System /以下、ERTMS)の設計と納入に関するフレームワーク契約を約5億ユーロ(約625億円)* で締結したと発表した。
この最先端のデジタル列車制御は、シチリア州480km、ウンブリア州の旧中央ウンブリア鉄道の路線150km、 ラツィオ州のロッカセッカとアブルッツォ州のアヴェッツァーノ間80kmに導入される。
ERTMSの導入により、従来の線路上にある信号機を、車上の信号装置に置き換え、列車運行本数、信頼 性、スピードを高めることができます。ERTMSは欧州周辺の列車制御システムを統一し、国境でのシステム切り 替えが不要な鉄道をめざしている。これは新しい統一規格の列車保護装置と、地上と車上間の通信を行う GSM-R(Global System for Mobile Communications – Railway)無線システムによって実現される。
このプロジェクトは、イタリア政府の「再興・回復のための国家計画」により資金が拠出される最初の技術プロ ジェクトである共に、 欧州の鉄道相互運用に向けた重要な一歩となり、乗客に大きな利益をもたらす。 ERTMSは高速鉄道の旅客サービスのために開発されてきたが、今回のERTMSの導入により、イタリア全土の 在来線に拡大される。
ERTMSにより、欧州の近隣諸国から列車が信号の切り替えで止まることなく、イタリアに乗り入れることができる。また、列車の危険時や制限速度を上回った場合に、非常ブレーキを作動させるといった安全機能や、定時 性や信頼性に大きな影響を与える事象を検知し管理する機能を持っている。
このERTMSは700kmの鉄道網でスピード、加速、ブレーキを制御し、鉄道のエネルギー使用量削減に重要な 役割を果たす。さらに、線路上にある信号機器の数が削減でき、沿線の景観保護にも貢献する。
日立は世界の信号業界におけるグローバルリーダーであり、欧州(英国、イタリア、スペイン、スウェーデン、フラン ス)、およびさらに競争の激しい中国やインドにおいてERTMSを導入した最初のサプライヤー。
■日立レール Executive Officer, Sales & Projects EMEA & Australia, Michele Fracchiolla(ミケーレ・フラキオー ラ)のコメント
私達は今回の受注を大変喜ばしく思います。 ERTMSは、イタリア政府の「再興・回復のための国家計画」の 資金で実施する、EUの技術プロジェクト実施目標の半分を占めます。このシステムの導入は、高速鉄道技術を 在来線に応用させる意図を明確に示しています。このシステムによる代表的な恩恵は特に、地上機器を通じた 連続的かつ完全な列車運行の監視です。このシステムにより、鉄道の安全性を高め、デジタル列車制御により 列車本数を増やすと同時に定時性を高めることができます。
- 1 ユーロ=125.11 円で計算
■日立製作所について(原文ママ)
日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊 かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企 業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力していま す。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの 6 分野で、OT、IT およびプロダクト を活用する Lumada ソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020 年度(2021 年 3 月 期)の連結売上収益は 8 兆 7,291 億円、2021 年 3 月末時点で連結子会社は 871 社、全世界で約 35 万人の従業員を擁しています。
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