DMG森精機は3月3日付で、ロシア事業の影響や業績見通しについてリリースを発表した。以下、リリース原文。
1. DMG MORI のロシア事業及び概況
DMG MORI は、独 DMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT が 100%所有する、ロシアのウリヤノフスクに工作機械の 組立工場(Ulyanovsk Machine Tools)、モスクワに販売及びサービス拠点(DMG MORI Russia)を通じて、組立、販 売、サービス事業を行っております。これらの子会社は日本(外国為替及び外国貿易法)及びドイツ(Foreign Trade and Payments Act、Foreign Trade and Payments Ordinance )の輸出管理規定を厳格に適用し、工作機械が民生 用の部品加工のみに利用されることを確認した上で販売を行っています。
2021 年度実績として、ロシアで販売さ れた工作機械は、60%強がロシアで組立てられた工作機械であり、40%弱が欧州乃至日本から輸入された工作機 械でした。DMG MORI は、欧州乃至日本からの輸出機として 20 台強のロシアのお客様向け受注残を抱えていま すが、この度、その受注機のロシアへの出荷を中止 しました。
また、ウリヤノフスクの組立工場での 生産も中止し ました。現在、ロシアのお客様向けの受注残の工作機械は、汎用機が中心となっており、今夏ころまでには 他地 域で転売できる見込みです。
2. 期間収益からの影響は軽微:
2021 年度のロシアの売上及び営業利益の全社に占める寄与は、それぞれ 2%程度 2021 年度(2021 年 1-12 月)の DMG MORI のロシアでの売上は、現地で組立した工作機械の販売、輸入機を含め て 80 億円(61million EUR、130 円/EUR)でした。営業利益は 5.5 億円(4.3Million EUR)でした。
今 2022 年度は、2021 年度に計上した売上、営業利益は、ほぼ見込めないものと考えています。但し、ロシアのお客様向けに既に完成 した工作機械については、転売が可能であると考えています。一方、グローバル市場での工作機械需要は引き続 き好調に推移しており、ロシアでの売上減少は、他地域で十分カバーできるものと考えています。 2022 年 1 月、 2 月の受注額は計画を上回りました。特に、欧州、米州、中国での受注額が計画を上回りました。
3. ロシア子会社の減損などの影響
ロシアの2つの子会社の 2022 年 2 月末の純資産は約 70 億円(53million EUR)で、DMG MORI 連結総資産 5,971 億円に占める比率は 1.2%、連結純資産 2,131 億円に占める比率は 3.3%と軽微です。なお、ウリヤノフスクの組立 工場の固定資産残高は 37 億円程度(28million EUR)です。今後の事業環境を見極めた上で、今年度末に減損な どの適用を考慮する可能性はあります。
なお、減損会計を適用した場合でも、キャッシュフローへの影響はありま せん。現段階で、減損損失の金額など確定したものはございません。
4. 保険によるウリヤノフスクの組立工場の経済的補償
ロシアの生産子会社は、ドイツ連邦政府による保険の対象となっています。損失の規模によりますが、最大 140 億 円弱(107million EUR)の損失が補償されます。保険の対象は、1)国有化、収用、2)政府機関などによる契約違反、 3)戦争、革命、市民の騒動または関連する政治的動機に基づくテロ行為、4)禁輸またはモラトリアム、5)兌換性、などとなっており、今後、DMG MORI のウリヤノフスクの組立工場の損害額に関する保険金請求なども検討して参 ります。
5. 2022 年度業績見通し
上記の通り、現段階でのロシア事業からの収益へのインパクト は軽微に留まる見通しです。
また、 ウリヤノフスク の組立工場の経済損失は、保険によって補償される可能性もあり、その適用可否などを見極める必要があります。
以上から、現段階では、2022 年 2 月 10 日に発表した今年度業績見通し、連結受注 4,800 億円程度(前年度比: 5.3%増、売上収益 4,300 億円(同:8.6%増)、営業利益 400 億円(同:73.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 250 億円(同:85.7%増)、1 株当たり配当金 60 円(前年度:40 円)に変更はありません。DMG MORI は、厳格な輸出管理規定のもと、ウクライナ、ロシアの民生用のお客様と長年に渡り取引を行って参り ました。当社にとっても、ウクライナ、ロシアの皆様とは深いつながりがあり、皆さまの安全を心から願っております。
現在は、ウクライナ、ロシアのお客様にスペアパーツなども お届け することができず、大変残念に思っております。 一日も早く、両国が紛争を解決し、平和な生活に戻られることを願っております。また、 当社は、欧州を含めて多く の事業展開の拠点を有しております。各国の規制にもよりますが、従業員の雇用も含めて生活の場などの提供な ども検討して行きたいと考えております。 最後に、改めて、皆さまの安全と、一日も早く平和な生活にもどられることを心から願っております。