帝人フロンティア(大阪市北区)は2月28日、医療用ガウンにおいて、有事における急激な需要拡大への対応、および長期にわたる安定的な供給を図るため、帝人グループにおいて国内最大の事業所である松山事業所(愛媛県松山市)内に、不織布から製品までの一貫生産を可能とする自動化設備を備えた工場を新設すると発表した。これによる投資金額は約20億円。
帝人フロンティアは、今回の国内一貫生産工場の新設により、医療現場の負担軽減に貢献するとともに、重点事業領域としているヘルスケア分野の成長を加速し、企業価値のさらなる向上を目指す。
1.背 景
(1)帝人フロンティアは、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、グローバルな調達機能を活用することにより、全社を挙げて、医療従事者をサポートするための医療用ガウンの生産・供給に取り組んでいる。
(2)しかし一方で、感染が急拡大した局面には、海外からの物資調達が困難になったことなどにより医療用物資の逼迫が問題となり、特に大半を海外からの輸入に頼っている医療用ガウンについては、安定供給のために国内生産への要請が高まっている。
(3)こうした中で帝人フロンティアは、有事における急激な需要拡大に対応するとともに、長期にわたり安定的に安全性の高い医療用ガウンを供給するために、国内に医療用ガウンの素材から製品までを一貫生産する工場を新設することにした。
2.新設する一貫生産工場について
(1)国内最大の事業所である帝人の松山事業所(北地区)内に、約20億円を投資し、不織布から製品までの一貫生産を可能とする自動化設備を備えた工場を新設する。
(2)この生産工場には、不織布製造とラミネート加工から成る生地生産設備および自動縫製設備を設置しする。
(3)縫製工程を自動化することにより、医療用ガウンを縫製する一般的な工場に比べて人員一人当たりの生産性が約7~10倍に高まり、配置人員の少数化を可能にするとともに、人と人との接触を避けた工場運営が可能となることから、昨今のコロナ禍のような有事に際しても生産・供給を継続することができる。
3.生産する医療用ガウンについて
(1)新設する工場で生産する医療用ガウンは、ポリエステル素材をはじめ、多様な素材の使用に対応する。
(2)ポリエステル素材には環境に配慮したリサイクル原料を使用し、将来的には、生産・販売した医療用ガウンを着用後に回収し、製品までリサイクルするシステムの構築を目指す。
(3)不織布へのラミネート加工およびシームレス縫製を採用することにより、高い防御性能を有するAAMIレベル(*)に準じた医療用ガウンを生産できる。
(4)また、帝人フロンティアの衣料製品製造に関する知見を活用し、着脱しやすく、動きやすい形状のガウンを生産する。
(*)AAMI レベル: 米国医療機器振興協会(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)が定める、ガウンやドレープなどのバリア性能をレベル1~4 までの 4 段階で示した世界的な基準。
4.今後の展開
(1)医療用ガウンは2022年12月より生産を開始する。生産予定数量は、2022年度に200万着、2025年度に600万着を見込んでいる。
(2)生産開始後は、帝人フロンティアが医療機関への販売を行うとともに、医療用品販売会社などへの販売も実施していく。