日精樹脂工業は2月18日、長野県から発する優れたブランドを選定・表彰する「信州ブランドアワード2021」(主催:信州ブランドフォーラム開催実行委員会)の「しあわせ信州」部門において、環境対応素材であるポリ乳酸(PLA)の射出成形技術に関する自社ブランド『N-PLAjet』が大賞を受賞したと発表した。
同アワードの「しあわせ信州」部門では、毎年テーマを設定して募集が行われており、そのテーマに即し、かつ信州ブランドの価値向上につながるとの評価を得たブランドが選定されている。
2021年の同部門では、世界的に持続可能な脱炭素社会に向けた取組みが始動しつつある中、長野県においても2050年のゼロカーボンを目指して「ゼロカーボン戦略」が策定されたことから、『ゼロカーボンを意識した商品・サービス』をテーマにブランドの選定が行われた。
日精樹脂工業は、1990年代より環境対応素材である生分解性樹脂の利用技術・応用技術の研究開発に継続的に取り組んでおり、その実用化技術を「N-PLAjet」としてPLA専用の射出成形システム・成形技術をターンキーで提供している。
植物由来で生分解性を有するPLAは、石油系のプラスチックに代わる素材として最も有望視されているが、まだまだ流通量が限られており、そのため材料価格も高いこと、そして何より成形性に課題があること(金型内での流動性・離型性が悪い、耐熱温度が低いこと等)から、現状のPLAの用途は、フィルムやシート向けが大半で、射出成形法による用途は限定的となっている。
そこで日精樹脂工業は、PLAの普及に向けた射出成形技術や専用成形システムの開発を早期より取組んでおり、リサイクルや生分解による循環を可能とするため、限りなく環境負荷を抑制するため、特にPLAの100%使用にこだわって研究開発を行っている。これまでに、材料メーカーや金型メーカー等との協業案件を含め、120℃までの耐熱用途向け、グラスなどの薄肉透明用途向け、木粉(長野県内の間伐材を有効利用)とPLAとのコンポジット材料成形、PLAの2色成形などを実用化してきた。
今回の選考においては、「ゼロカーボン」を意識した取組みとしてテーマに合致している点、1990年代初めから生分解性樹脂の研究開発に着手し継続的に取組んでいることの先見性や志向性を評価され、大賞の受賞となった。
日精樹脂工業は、今後も資源循環型社会の実現に向けて、PLAを中心とした環境対応素材の更なる用途開拓と普及に取り組んでいく。