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カネカ、約150億円投じて高砂工業所内で生分解性ポリマーの能力を増強

 ㈱カネカ(本社:東京都港区)は2月7日、「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet®」(以下、Green Planet)の大型能力増強を決定したと発表した。

 プラスチックによる環境汚染が大きな問題となっている。世界的にSingle Useプラスチックは使用禁止となっており、日本でも2022年4月から施行されるプラスチック資源循環促進法により使い捨てプラスチックの削減が義務化される。Green Planetは生分解性に加えて、汎用プラスチックと同様の機能を有するため、使い捨てプラスチックによる環境破壊に対する画期的なソリューションを提供できる素材。

 Green Planet(化学名はPHBH)は植物油を原料に微生物によって生産されるバイオマスポリマーで、土壌中に加え海水中でも容易に分解し、CO2と水に戻り環境を汚染することがない。開発に着手した30年前は奇跡のポリマーと呼ばれたが、工業規模での生産はDreamでしかなかった。しかし革新的な培養技術の開発により事業化に向けたVisionが明確になり、更に配合・成形技術が大幅に進化したことで、社会実装がRealとなる。発酵・培養からポリマー生産に関わる幅広いコア技術を有するカネカだからこそ実現できたと考えている。

 Green Planetで代替可能な使い捨ての汎用プラスチック製品は世界で約2,500万トン/年と推定している。既に実使用が開始されているストロー、カトラリー、コーヒーカプセル、袋、フィルム等だけでも500万トン/年を超える規模。環境意識の高いブランドホルダーからの引き合いが急増しており、供給能力の増強を求められている。

 今回の新増設をスタートとして、地産地消の方針の下、需要が広がる欧米での増設を順次進める計画。Green Planetは数十万トン規模の事業ポテンシャルを有しており、カネカの新たな事業ポートフォリオの核となると考えられる。

 Green Planetが使われる用途は多岐に渡り、今後も益々拡大していくと考えられる。そのために同設備は技術開発途上の実証プラントと位置付けており、更なる新製品開発、プロセス革新による生産性の向上やコストダウンを進め、次期増設に活かしていく計画。

<設備投資の概要>
立地:カネカ高砂工業所内(兵庫県高砂市高砂町宮前町1-8
投資額:約150億円
生産能力:15,000トン/年(既存設備5,000トン/年と合わせ年20,000トン/年)
稼働予定:2024年1月

 カネカはESGを経営の重点施策と定め、「カネカは世界を健康にする。KANEKA thinks“Wellness First”」を経営目標として取り組んでいる。Green Planetへの積極的な投資はカネカのESG経営への強いコミットメントを具現化するもの。持続可能な循環型社会の構築とプラスチック汚染問題の解決に取り組んでいく。

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