近年、人手不足や倉庫の大型化から搬送作業へのロボットの導入が加速している。しかしこれまでは、搬送作業の自動化のためにロボットを導入しても、安全性確保のために走行速度を抑える必要があり、搬送効率が課題で生産性向上に繋がっていなかった。一方、走行を高速化するには安全性確保のために搬送ロボット専用の通路やエリアを整備する必要があり、既存倉庫への導入は困難だった。
NECは今回、センサの測定誤差やシミュレーション結果と実際のロボットの動きの差など、ロボット制御における不確かな要素を表現できるモデルと、数理ファイナンスの手法を活用して、安全性リスクに応じてロボットを制御するリスクセンシティブ確率制御技術を開発した。
これにより、作業者や床上の物品などの障害物がなくリスクが低い場所では最短距離を高速走行し、リスクが高い場所では確実に回避できる経路を低速走行するなどをロボットが自律的に判断し実行する。同技術を適用したロボットと従来のロボットで搬送作業を比較したところ、作業時間が半分となり、安全性を確保しながら搬送効率を2倍向上できることを確認した。また、ロボット専用エリアを整備しなくても安全性と効率性を実現できるため、既存倉庫への導入が容易。
NECは今後、現場での実証実験を通じてさらなる技術開発を進め、協調搬送ロボットへの早期搭載を目指す。
なおNECは、同技術と協調搬送ロボットを2022年2月1日(火)~2日(水)に東京ビッグサイトで開催される「ロジスティクスソリューションフェア2022」で紹介する。