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●年頭所感 (一社)日本陸用内燃機関協会 会長 木股 昌俊

・令和4年 陸内協賀詞交歓会 会長挨拶

 新年あけましておめでとうございます。

 令和 4 年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 まず昨年の総括ですが、何と言っても新型コロナウィルス感染症により、世界中の市民生活や経済活動が大きく影響を受けたことがあげられます。国内においては、東京都の例で言いますと、1月8日から9月30日までの9か月間に 221日間緊急事態宣言が発令され、皆様の中にも、生活様式や勤務形態の変更を余儀なくされた方も多かったのではないかと思います。10月に入って、ようやく国内の感染の勢いが減速し、生活や働き方も日常に戻る 兆しがみられるようになりましたが、海外の感染状況や新たな変異株の出現など、まだまだ予断を許さない状況に思えます。

 さて、一昨年10月の菅前首相の2050年カーボンニュートラル宣言より、国内では脱炭 素に向けた議論が急速に高まっています。脱炭素社会は内燃機関をバッテリー駆動の電動 機に置き換えただけでは実現できません。大きく分けて3つのシナリオが必要です。

 一つ目が燃料の脱炭素化で、社会の必要とするエネルギー源を水素や再生可能エネルギーなど、化 石燃料を含まないエネルギーへ転換することが必要です。

二つ目がエネルギー利用技術の 改革で、エネルギー変換効率を極限まで向上させて、製造・廃棄またはリサイクル過程を含 むエネルギー消費(CO2 排出)を最小限とする必要があります。

 三つめは、これらを尽くしてもどうしても排出されてしまう炭素を回収し、定着化またはリユースする技術の開発・普及が必要です。いずれの技術もひと筋縄ではいかないものですが、150 年前にロックフェラー氏が開拓した石油を中心とするエネルギー体系を、全く異なったエネルギー体系に生まれ変わらせるためには、内燃機関を含むエネルギー変換技術の革命的な転換が必要になると考えています。

 続いて、昨年の当協会が扱う陸用エンジンの生産実績についてご紹介します。当協会では 毎月の生産状況をホームページに公表しておりますが、一昨年、2020年1月から12月までの国内と海外を合わせた2020年の総生産台数は 11,625,907 台でした。

 昨年、2021年1月から9月までの総生産実績は 10,562,631 台(前年同月比 121%)でした。内訳は、ガソリン エンジンが 8,874,843台(対前年比120%)、ディーゼルエンジンが 1,623,911 台(同 132%)、 ガスエンジン 63,877 台(同 104%)でした。

 このまま生産が推移すると、2021年1月から12 月までの総生産台数は 14,083,500 台(対前年比121%)が見込まれます。これらの需要回 復の理由として、中国及び米国のインフラ投資政策による建設機械需要、国内の政府補助金による防災発電機需要、また民生用では、欧米や日本の巣ごもりによるガーデニング機器需要などがあげられます。

 さて、冒頭でもご紹介しましたカーボンニュートラル達成へのシナリオですが、自動車の大半は蓄電池搭載を達成目標としていますが、大量のエネルギー搭載を必要とする重量車やエネルギー供給環境の整わない地域で活動する建設機械または農業機械などに対しては、バイオ燃料や e-fuel または水素・アンモニアなどのカーボンフリー燃料の利用が不可欠と考えています。陸内協は内燃機関のカーボンニュートラル化に向けて、会員各位や関連する 団体、大学、研究機関と情報を共有し発信してまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、本年が皆さま方にとりまして良い年でありますよう、心からお祈り 申し上げますとともに、ますますのご発展とご多幸を祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて いただきます。

 日本陸用内燃機関協会HP

 

 

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