第3四半期における経営環境は、コロナ禍からの正常化が着実に進み、製造業全般において生産の高度化・自動化を目的とした設備投資が積極的に行われた。特に半導体・電子部品市場はグローバルに拡大を続け、自動車市場におけるEV(電気自動車)化やリチウムイオン電池関連などの設備投資が加速した。また、中国においては5Gや新エネルギーなどのニューインフラ投資が継続するなど、需要は期を通じてグローバルに高い水準で推移した。
このような環境において安川電機グループの業績は、長期化する部品の供給不足などによって生産制約を受けたものの、モーションコントロールセグメントやロボットセグメントを中心に旺盛な需要を的確に捉え、前年同期に対し大幅な増収となった。利益面については、物流費や原材料費の値上がりの影響を受けた一方、売上増加に伴う改善や経費管理の徹底などにより営業利益は前年同期に対し大きく増加した。
■地域別の経営環境
米 国: 半導体・自動車関連の需要が高水準で継続したほか、労働力不足を懸念した自動化投資が積極的に行われるなど、総じて拡大基調となった。
欧 州: 経済の正常化にともなう市況回復が続き、自動車や工作機械などを中心に市場全体で需要は伸長した。
中 国: 5G・新エネルギーなどニューインフラ関連や自動車関連の需要が好調に推移するなど、期を通じて活発な設備投資が継続した。
中国除くアジア:韓国や台湾などで半導体や液晶関連の設備投資が伸長した。
■セグメント別状況
<モーションコントロール>
モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成されている。
グローバルな設備投資が積極的に行われたことからセグメント全体の販売は好調に推移し、大幅な増収となった。利益面においては物流費や原材料費の値上がりの影響を受けたものの、売上の増加やインバータの新製品切り替え効果などにより増益となった。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
日米・韓国などで半導体・電子部品需要が高い水準で継続した。また、中国ではスマートフォンや基地局向けなどの5G関連需要が増加し、リチウムイオン電池や太陽光発電用パネルなどの新エネルギー関連分野でも積極的な設備投資が期を通じて行われたことから、販売は総じて好調に推移した。
〔インバータ事業〕
欧州をはじめグローバルな市況回復により設備投資が活発化した。さらに、中国では省エネ政策にともなう需要や繊維関連の需要などが拡大し、売上収益は増加した。
<ロボット>
売上収益 1,310億49百万円 (前年同期比 +31.5% )、営業損益 117億47百万円 (前年同期比 +178.4% )
ロボットセグメントの主要市場である自動車においてはEV化がグローバルで加速し、新たな生産設備の投資を拡大する動きが継続した。
また、3C*などを中心とした一般産業分野においても、日欧米などで生産の高度化・自動化を目的とした投資が行われた。
このような需要環境に加え、半導体ロボットの販売も好調に推移したことから、売上収益は大きく伸長し、営業利益は売上の増加や操業度の改善などにより大幅に増加した。
*3C:Computer、Communication、Consumer Electronics の3語の頭文字
<システムエンジニアリング>
売上収益 383億58百万円 (前年同期比 +9.2% )、営業損益13億 9百万円 (前年同期比 13億3百万円増加 )
システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、産業用オートメーションドライブ事業で構成されている。
売上収益は環境・社会システム事業を中心に前年同期比で増加し、営業利益は採算管理の徹底や経費抑制の継続などにより増加した。
〔環境・社会システム事業〕
コロナ禍からの正常化により、国内の上下水道用電気システム関連および欧州の大型風力発電用電機品の販売は好調に推移した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕
国内における鉄鋼プラント関連の売上は低調に推移した一方、海外の港湾クレーン向けの販売などは堅調に推移した。
<その他>
売上収益 150億50百万円 (前年同期比 △12.1% )、営業損益2億67百万円 (前年同期比 5億25百万円改善 )
その他セグメントは、物流サービス事業などで構成されている。
売上収益は国内を中心に前年同期から減少した一方、営業利益は製品構成の改善などにより増加した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
通期連結業績予想については、需要環境は引き続き好調なものの、部品不足による生産影響を鑑み、2021年10月8日公表(下記)の連結業績予想を据え置いた。
売上高485,000百万円(前期比24.5%増)、営業利益58,000百万円(同113.4%増)、税引前利益59,500百万円(113.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益42,500百万円(同124.5%増)。
なお、2021年12月1日から2022年2月28日までの期間における平均為替レートは、第2四半期決算発表時点の計画から見直し、1ドル=109.0円から113.0円、1ユーロ=129.0円から128.0円、1元=16.80円から17.80円、1ウォン=0.093円から0.095円としている。