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コマツ、「新春向けコマツ社長インタビュー合同取材会」を開催

・2021年を振り返り、2022年の展望については。

一般建機と鉱山機械の市場動向については。

・部品やコンテナ不足、鋼材価格の上昇についての対応は。

・クロスソーシングについて具体的には。

中国の不動産市場の変化が建機需要に与える影響については。

・建設機械の電動化や電動市場はどうなっているか。

 コマツは12月8日、年末恒例の「新春向けコマツ社長インタビュー合同取材会(Teams取材会)」を開催し、小川啓之社長が、2021年を振り返るととともに、2022年以降に向けた取り組み、考え方や方向性などを語った。以下、順不同で内容を抜粋紹介する。

・・・・・2021年を振り返り、2022年の展望については。

 2021年度は2020年度のコロナの影響を受けた後、市場が回復し始め、2021年度は非常に忙しい1年だった。足元の受注状況は、コマツが過去最高の売上を達成した2018年に近い受注がきている。そういったこともあって、グローバルにコマツの各工場は非常に高い操業状況が続いている。

 一方、やはりサプライチェーンの問題があり、特に半導体やコンテナ船の不足といったところがあるが、コマツの強みであるクロスソーシング、つまり部品とか車両(機械)とか、どこの生産拠点からもどこの市場にも出せるような強みを活用しながら何とか生産を増やしている状況である。

 2022年については、まだビジネスプランを立てている段階だが、需要そのものは2021年と変わらず多少上振れすると見ている。2021年の特長としては、中国は非常に悪くて、それ以外は良かった。中国については、2020年、コロナがいち早く収束したことや政府の経済対策もあり、需要が膨れ上がり30万台に達した。中国の過去のピークは、4兆元投資があった2010年で、その年は20万台だったが、2020年はそれを超える水準となった。2021年はその反動で、かなり需要が下がってきている。おそらく2022年もさらに落ちるだろう。その他の地域は2021年よりも増加し、相殺すると、2022年は2021年並みになると見ている。

 ・・・・・一般建機と鉱山機械の市場動向については。

 2022年については、計画を練っている状態なので、詳しくは申し上げられないが、一般建機については、各地域ともコロナの影響からの経済対策もあり2021年並みの水準を維持する。

 鉱山機械については、2021年よりは増えるだろう。これは、資源価格が高いレベルを維持しているので、2022年は2021年より上振れすると見ている。足元では、鉄鉱石や石炭の価格は、一旦とんでもないレベルまで上がって、現状落ちてはいるが、落ちたレベルでも過去に比べ高いレベルにあるので、ここは大きく心配していない。石炭と鉄が落ちたのは、中国が国内生産量を増やしたということと、粗鋼生産量を落としたことだろう。2022年の鉱山機械については底堅く、2021年に比べプラスアルファするだろう。

 一般建機については、先ほども言ったとおり、ほぼ横ばいと見ているが、中国はおそらくさらに下がると見ている。2021年、中国は30~40%落ちたが、2022年もそれぐらいと見ている。その他地域は底堅く、北米で1兆ドルのインフラ投資とかがあるので、底堅く推移すると見ている。

 ・・・・・部品やコンテナ不足、鋼材価格の上昇についての対応は。

 部品不足については、クロスソーシングというコマツの強みを生かして、各拠点から部品を調達する、あるいは車両そのものをクロスソーシングするということで、何とか対応できている。

 コンテナ不足。特に北米向けについては、リードタイムが通常の1.5倍から2倍かかっているが、それもいろんな対策を講じている。例えば、コンテナ船の代わりにRORO船を使ったり、後付けできるような部品は航空便で送ったり、航路なんかも通常の航路を変更しながら何とかやりくりしている。そのような対策により、海外拠点への供給を行い、工場が止まったりする状況にはなっていない。

 コンテナ船の不足については、2022年も続くと思われる。業界によると、コンテナの新造船が出てくるのは2023年といわれているので、2022年もコンテナ船の不足は続くと見られる。コマツの武器であるクロスソーシングを最大限活用して需要に対して供給責任を果たしていく。

 鋼材価格や物流費の高騰については、上半期において、原材料価格で390億円、物流費で85億円の影響があったが、ここは大きく変わっていない。これをカバーするため、販売価格のアップ、固定費を含めたコスト低減、中期経営計画の成長戦略をきちんとやっていくことで対応できる。2022年、販売価格のアップは1年間寄与するので、いまの鋼材価格のアップや物流費については、販売価格のアップとコスト低減で対応、影響は最小限に抑えることができる。

・・・・・クロスソーシングについて具体的には。

 従来から、タイとインドの工場を拠点として位置づけている。タイ工場は、周辺国のほか、北米、中南米、オーストラリア、アフリカ。インドの工場では、ダンプトラックはアフリカ、今年からは油圧ショベルは中近東へ出荷している。合わせて、中国の生産余力を活用してロシアに500台、インドネシアに500台、半期で1,000台を出荷した。2022年は少なくとも2,000台のクロスソーシングを進めていく。

 中国の生産能力は1万7,000台(年)だが、構造改革含めて1万台程度に落とし、かつクロスソーシング拠点として活用していく計画だ。中国の構造改革については、従来から、組立工場3つを2つにするとか、鋳造工場は2つを1つにするといった、構造改革を進めてきているが、それは継続していく。先に述べたクロスソーシング拠点としての活用、そのほか、合弁会社(山推との)を独資化するといったことで動いている。

・・・・中国の不動産市場の変化が建機需要に与える影響については。

 中国の売上比率は、全体の4%で殆ど影響はない。中国の売上のうち不動産市場向けの建機の割合は2割、全体から見れば何の影響もないと考えている。中国銘柄とか言われるが、中国の売上比率は4%しかなく、コマツの強みは世界各国で均等に収益を上げていること。特に、戦略市場、伝統市場、各50%を売上げている。このバランスの良さが、当社の強みであり、いま質問のあった恒大集団の件とかの影響は殆どないと考えている。

・・・・・建設機械の電動化や電動市場はどうなっているか。

 少し誤解があるかもしれないが、いまのところ建設・鉱山機械の電動化市場はグローバルに見てどこにもない。自動車と全く違うところだ。どういった時間軸、何処でどういった規模で電動化市場ができるかどうかは未だ分からない。しかし、ある程度仮説を立てて、どこの地域で、どれぐらいの規模で市場ができるだろうと想定している状態だ。

 当社がやらなければいけないのは、将来、2030年、2040年、さらには2050年に向けて、今後、顧客に向けていろんな選択肢を提供することが必要であるので、電動化建機、電動化鉱山機械の開発を進めている。この開発によって、足元の売上・利益への影響は、全く繋がらなく、将来への研究開発という位置づけである。

 建設・鉱山機械の電動化については、非常に小さいものから超大型までいろんな機種がある。たとえば、ホンダと共同開発した電動化マイクロショベルの出力は3KW、一方、鉱山のダンプトラックは1,500KWぐらい必要で、いわゆる出力の問題がある。稼働時間も1日数時間から24時間まで、使用環境も全く異なる。それからインフラ、これは水素や電力の供給。機械が動いている現場、コストの問題もある。

 ただ、そういった電動化については、いろんなアプローチをしていく必要があると考えている。様々な機種、様々な使い方、当然、バッテリーであるとかハイブリッド、ディーゼルエレクトリック、燃料電池、水素エンジン。全方位的に研究開発を進めていかなければならないと考えている

 いまの進捗状況は、マイクロショベルについては、ホンダと共同開発して2021年度中に量産化を開始する予定だ。1トン以下のショベルについては、引き続きホンダと共同開発していく。バッテリー交換式は建機では初めての試みだ。これも近々量産化していきたい。

 20トンクラスについては、米国プロテラ社(Proterra Inc)と協業しながら進めているが、車体は仕上がっており、11月半ばから客先で実証試験を行っている。顧客からは非常に静かで良いと聞いている。7トンクラス、10トンクラスについては、電動化に有線電動を発表している。20トンクラスについては、2023年をメドに量産化していきたいと考えている。

 鉱山機械については、ダンプトラックを中心に、いろんなパワーソースで動くような機種を開発していく。先日行われたMINExpo 2021(米国)でも展示したが、2030年をメドに開発を進めていく。それまでは、いろんな有線電動であったり、バッテリー電動であったり、いろんな機種を開発していく。

 特に鉱山の大手ユーザーは、2030年~40年頃に、鉱山オペレーションをカーボンニュートラルにしたいとのことなので、それに向けてコマツも製品を供給して対応していく。

 地下建機についても、プロテナ社のバッテリーシステムを搭載した坑内掘りのハードロックの機械の開発を進めている。総じて言うと、2050年までのロードマップ(9月発表)に従って粛々と進めていきたい。

 どこに市場ができるかだが、小さな機種(ユーティリティ)の市場がまずできるだろう。気候変動の意識が非常に高く、ユーティリティの市場がある欧州であろうという、仮説を立てている。

 2つ目は、鉱山機械の電動化。ここに市場ができる。一番小さな部分と大きな部分で市場ができると見立てている。その間の一般建機については、どこにどういった市場ができるかどうかは分からない。

 それに向けて全方位的な開発を進めていくとともに、すでに持っている技術、例えばハイブリッドとかディーゼルエレクトリック、この開発を進めていって、最終的に電動化へのアプローチを進めていきたい。

 ハイブリッド建機は、欧州において、すでに30トンは40%以上がハイブリッドに切り替わっている。足元では、東南アジアに30トン級ハイブリッドを導入する計画だ。来年初めにはインドネシアにも導入していく。いわゆる戦略地域でも、ますますカーボンニュートラルという流れが加速していくなか、いろんなことをやりながら、かつ動きを探りながら、電動化に向けて開発を進めていく。

 一番大事なのは、顧客に技術的なロードマップを示しながら、最終的には機械の選択肢を提供するのがメーカーの使命だと考えている。

 2021年12月8日会見より抜粋。

 

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