受注高は、モーターサイクル&エンジン事業、エネルギーソリューション&マリン事業の増加などにより増加となった。売上高は、航空宇宙システム事業、エネルギーソリューション&マリン事業などが減収となる一方で、モーターサイクル&エンジン事業、精密機械・ロボット事業などが増収となったことにより、全体では前年同期比で増収となった。
営業損益は、モーターサイクル&エンジン事業、航空宇宙システム事業での改善などにより、前年同期比で大幅な改善となった。経常損益は、持分法損益や為替差損益などの悪化はあったものの、営業損益の改善により大幅な改善となった。親会社株主に帰属する四半期純損益は、経常損益の改善に加え、税金費用の減少により大幅な改善となった。
■セグメント別業績
<航空宇宙システム事業>
このような経営環境の中で、受注高は、民間航空エンジン分担製造品における収益認識会計基準等の適用の影響による減少はあったものの、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品の増加により、前年同期に比べ247億円増加の972億円となった。
売上高は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が減少したことに加え、収益認識会計基準等の適用による民間航空エンジン分担製造品の減少などにより、前年同期に比べ352億円減収の1,333億円となった。営業損益は、減収はあったものの、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品における収益性の改善などにより、前年同期に比べ147億円改善して91億円の営業損失となった。
<車両事業>
車両事業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により国内では鉄道関連投資計画の見直し、海外では工程の遅れや入札の延期・中止等が現実となりつつあるが、中長期的には、人口集中による大都市の混雑緩和や環境対策のための都市交通整備、アジア諸国の経済発展に伴う鉄道インフラニーズなど、今後も世界的に比較的安定した成長が見込まれる。
このような経営環境の中で、受注高は、新幹線車両の受注があった前年同期に比べ、72億円減少の231億円となった。売上高は、海外向け及び国内向け車両が減少したことなどにより、前年同期に比べ115億円減収の575億円となった。営業損益は、減収はあったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響などによる海外案件の採算悪化があった前年同期に比べ15億円改善して13億円の営業利益となった。
<エネルギーソリューション&マリン事業>
エネルギーソリューション&マリン事業を取り巻く経営環境は、世界経済が新型コロナウイルス感染拡大の影響による停滞から正常化に向かう中、回復基調を維持している。国内外の分散型電源需要、及び新興国におけるエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続している。また、LPG運搬船に関する商談も徐々に増えている。更には、世界的にカーボンニュートラルの実現を目指す動きが強まっており、川崎重工が強みとする水素製品をはじめ、脱炭素ソリューションに関する問い合わせや協力要請が増加している。一方、急速な経済正常化の動きに連れて、原材料価格や輸送運賃が高騰するなど、収益の圧迫が懸念される。
このような経営環境の中で、受注高は、国内向けごみ処理施設整備・運営事業などの大口案件の受注やLPG運搬船の受注増加などにより、前年同期に比べ458億円増加の1,642億円となった。売上高は、LPG運搬船の工事量増加はあったものの、修繕船やガスタービンコンバインドサイクル発電プラントの売上減少などにより、前年同期に比べ118億円減収の1,309億円となった。営業損益は、減収などにより、前年同期に比べ38億円悪化して9億円の営業損失となった。
<精密機械・ロボット事業>
このような経営環境の中で、連結受注高は、建設機械市場向け油圧機器や半導体向けをはじめとする各種ロボットの増加により、前年同期に比べ256億円増加の1,281億円となった。売上高は、建設機械市場向け油圧機器や半導体向けをはじめとする各種ロボットの増加により、前年同期に比べ192億円増収の1,182億円となった。営業利益は、増収などにより、前年同期に比べ55億円増益の89億円となった。
<モーターサイクル&エンジン事業>
モーターサイクル&エンジン事業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大による市場への影響が継続している。主要市場である米国では、前年度に引き続き、四輪車等オフロードモデルの需要が旺盛であり、欧州市場も堅調に推移している。一方で、東南アジア市場は前年同期よりは回復したものの依然として先行きが不透明な状況が継続している。また、半導体や原材料の不足、物流の混乱等により、製品供給にも影響が及んでいる。
このような経営環境の中で、売上高は、北米向け二輪車、汎用エンジンの増加に加え、欧州向け及び東南アジア向け二輪車の増加により、前年同期に比べ670億円増収の2,068億円となった。営業損益は、増収に加え、前年同期に比べ為替レートが円安で推移したことなどにより、前年同期に比べ237億円改善して185億円の営業利益となった。
<その他事業>
連結売上高は、前年同期に比べ38億円減収の340億円となった。営業損益は、前年同期に比べ17億円改善して15億円の営業利益となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
2022年3月期の連結業績については、売上高は、航空宇宙システム事業が減収となるものの、モーターサイクル&エンジン事業等での増収が見込まれることから、前回(8月5日)公表値から200億円増加(4.1%増)の1兆5,500億円となる見通し。
営業利益は、前回公表値を据え置いている。また、経常利益は鋼材価格の上昇等による船舶海洋事業の中国持分法適用会社の業績悪化等により、前回公表値から60億円減少の220億円、親会社株主に帰属する当期純利益は40億円減少の150億円となる見通し。なお、ROICは2.8%、ROEは3.3%となる見通し。
また受注高は、エネルギーソリューション&マリン事業等で減少が見込まれることから、前回公表値から500億円減少の1兆4,600億円(前期比4.1%増)となる見通し。
なお、業績予想における為替レートは、1ドル=112円、1ユーロ=132円を前提としている。