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コマツ、2021年4~9月期売上は34.8%増の1兆2,914億円、通期予想は22.5%増の2兆6,830億円

 コマツが10月28日に発表した2022年3月期の第2四半期(2021年4~9月)連結業績によると、売上高は1兆2,914億円(前年同期比34.8%増加)となった。建設機械・車両部門では、前年同期における新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、一般建機・鉱山機械ともに中国以外の地域において需要が好調に推移した。半導体やコンテナ不足の影響をクロスソーシングの活用などにより吸収し、新車需要の拡大を着実に取り込んだことに加え、部品・サービス売上げも増加したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。産業機械他部門では、鍛圧機械、板金機械、工作機械については各国で経済活動の規制が緩和され、海外での据付け工事の完了などにより売上げが増加した。加えて、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業などの需要が好調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回った。

 利益については、建設機械・車両部門における各地域での販売量増加や販売価格の改善、円安の影響により、営業利益は1,362億円(前年同期比125.9%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を4.3ポイント上回る10.6%、税引前四半期純利益は1,365億円(前年同期比133.2%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は931億円(前年同期比149.7%増加)となった。

 コマツは、2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARD Together for Sustainable Growth」において、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革 を成長戦略3本柱として掲げており、将来に向けて収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指して活動を継続している。

 またコマツは、2021年9月に発行したコマツレポート(統合報告書)において、中期経営計画で掲げたCO2排出削減に関する経営目標の延長として、2050年までにCO2排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルに向けた取り組みに関する長期ビジョンを発表した。同取り組みとして、鉱山現場の温室効果ガス排出削減を目指し、大手鉱山企業とともに「コマツGHGアライアンス」を発足した。

 コマツ2022年3月期第2四半期データ

■部門別概況

[建設機械・車両]

 建設機械・車両部門の売上高は1兆1,853億円(前年同期比35.2%増加)、セグメント利益は1,186億円(前年同期比127.2%増加)となった。

 中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる価値創造」においては、自動化・自律化、電動化、遠隔操作化の取り組みを着実に推進した。鉱山機械見本市「MINExpo INTERNATIONAL2021」において、超大型油圧ショベル「PC7000-11」の遠隔操作と無人専用運搬車両との協調による半自動化作業のデモンストレーションを紹介した。また、カーボンニュートラルを目指して、いかなる動力源でも稼働可能なパワーアグノスティック超大型ダンプトラックのコンセプトを発表した。国内では、現場の安全性向上を目指し、電動式フォークリフト「FE25/30-2」およびホイールローダー「WA270/320-8」に、オペレーターの後方安全確認を光と音でサポートする衝突検知警報システムの搭載を進めた。

 「事業改革による成長戦略」では、東南アジア地域において2ラインモデル戦略を開始し、都市土木作業に特化して仕様を最適化した油圧ショベルCEシリーズ「PC200-10M0」の販売促進に努めた。また、坑内掘りハードロック向けに「No Blasting(発破の必要がない掘削性能), NoBatch(バッチ処理をおこなわない連続掘削), No Diesel(ディーゼル不使用)」というスローガンを具現化する初めての製品であるダイナカットの新モデル「MC51」と、岩盤掘削新工法の開発を進め、顧客とのトライアル提携を開始した。

 「成長のための構造改革」では、コマツ初のカーボンニュートラル工場として、新たな生産技術を織り込んだコマツフォレストABの新工場が生産開始した。

■地域別概況

<日本>

 日本では、新型コロナウイルス感染症の影響が小さく、公共工事及び民間工事向けともに需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を上回った。

<米州>

 北米では、一般建機の需要は、エネルギー関連向けは低調であるものの、住宅建設、インフラ、レンタル向けが引き続き好調に推移した。加えて、鉱山機械の部品・サービスの売上げが増加したことから、売上高は前年同期を上回った。

 中南米では、一般建機・鉱山機械ともに需要が好調に推移した。主に銅鉱山向けの鉱山機械販売が増加したことや、各国政府の景気下支え策の影響もありブラジル、チリを中心に一般建機需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、景気下支え策の影響などにより主要市場であるドイツ、英国、フランスに加えイタリアにおいてもインフラ向けの需要が回復したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 CISでは、インフラ及びエネルギー関連向けの一般建機の需要が好調であることに加え、金鉱山向けなどの鉱山機械需要も好調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<中国>

 中国では、新型コロナウイルス感染症の影響により昨年発生した春節後の販売シーズンの後ろ倒しの影響がなくなったことや、インフラ投資の停滞や環境規制による現場の稼働時間の減少により、需要が低迷した。また、中国メーカーの販売比率上昇の影響もあり、売上高は前年同期を大幅に下回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、新型コロナウイルス感染症が再拡大している地域があるものの、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械が堅調であったことや、インドネシア、フィリピンなどにおける一般建機の需要がともに好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 オセアニアでは、鉄鉱石や石炭向け鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、トルコでの需要が引き続き堅調であることに加え、サウジアラビアでの一般建機の需要が増加したこともあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 アフリカでは、南部アフリカ地域において鉱山機械の需要が増加したことと、その他地域においても一般建機の需要が好調であったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、一般建機及び鉱山機械の販売増加に伴い、新規取組高が増加したことから、売上高は369億円(前年同期比12.9%増加)となった。セグメント利益は、リースアップ車の評価額が改善したことに加え、前年同期における新型コロナウイルス感染拡大時に実施した支払猶予の影響などがなくなったことから、78億円(前年同期比67.6%増加)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、鍛圧機械、板金機械、工作機械については、新型コロナウイルス感染症の影響縮小に伴い、各国で経済活動の規制が緩和され、海外の顧客の現場における据付け工事の完了などにより売上げが増加した。加えて、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業などの需要が好調に推移したことにより、売上高は816億円(前年同期比25.8%増加)、セグメント利益は85億円(前年同期比109.6%増加)となった。

 ギガフォトン(株)では、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業の需要増加に対応するため、生産能力を従来の2倍に増強する取り組みに着手した。

■連結業績予想に関する定性的情報

 建設機械・車両部門において、新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、上期は一般建機・鉱山機械ともに中国以外の地域において需要が好調に推移した。下期についても、北米、欧州、アジアを中心に需要が引き続き好調に推移することが予想され、増収が見込まれる。 利益については、資材価格や物流コスト上昇の影響が見込まれるものの、販売量増加や販売価格及び原価の改善などにより増益となる見通し。2022年3月期連結業績予想は、以下のとおり修正した。

 売上高2兆6,830億円(前期比22.5%増、前回予想2兆4,690億円)、営業利益2,820億円(同68.5%増、同2,250億円)、税引前当期純利益2,770億円(同70.2%増、同2,170億円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,870億円(同76.0%増、同1,460億円)。

 業績予想の前提となる為替レートの見直し(下期平均の為替レートを1米ドル=107円、1ユーロ=126円、1人民元=16.5円に変更)により、2021年4月30日に公表した連結業績予想につき、売上高および利益を修正した。

 通期平均の為替レートは、1米ドル=108.5円、1ユーロ=128.6円、1人民元=16.8円となります。(前回通期平均の為替レート見通し1米ドル=105.0円、1ユーロ=124.0円、1人民元=16.0円)。

 ニュースリリース

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