・3月に続き、ロシア向けにHBI生産能力:世界最大となる年産208万トン
米国の神戸製鋼所100%子会社であるMidrex Technologies,Inc.(以下ミドレックス社)と、Primetals Technologies,Limited(プライメタルズ社)のコンソーシアムは10月22日、ロシアのMetalloinvest MC LLC(メタロインベスト社)よりLebedinsky GOK( LGOK)向けにMIDREX(R)プロセスのHBI(※)プラントを受注したと発表した。
受注したプラントは、メタロインベスト社がロシアのベルゴルド州グブキンに新設するもの。最新の技術を用いた設計により、MIDREX(R)プロセスによるHBI生産能力は世界最大となる年産208万トンを確保しつつ、エネルギー消費量と環境負荷も低減できるのが同プラントの特長。また将来的に、使用する還元材を水素へ完全に移行することも視野に入れた設計となっている。
ミドレックス社は2021年の3月にも同メタロインベスト社の傘下であるMikhailovsky HBI LLC(ミハイロフスキー社)より今回と同規模のMIDREX(R)HBIプラントを受注している。また、LGOK向けにはMIDREX(R)HBIプラントを2007年、2017年にも納入しており、今回が3基目となる。
工場稼働は2025年を予定している。ミドレックス社とプライメタルズ社は機械・電気機器、鋼構造物、配管、ダクト等のエンジニアリングと供給、操業のトレーニングとアドバイザリーサービスを担う。別途選定される建設業者と連携しながらプロジェクトを推進する計画。
MIDREX(R)プロセスは、天然ガスを使った還元鉄製鉄法であり、世界の還元鉄生産の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占めるリーディングプロセス。同方式は、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元材として、鉄源は粉鉱石を加工したペレットを使用しシャフト炉によって還元し、還元鉄を製造する。高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を20~40%削減(「還元鉄・電炉」と「高炉・転炉」の比較)できることなどが特長で、世界で80基以上が稼動している。
また、MIDREX(R)プロセスは、経済的・大規模な水素利用が可能になれば、大きな設備改造なくカーボンニュートラルへの対応が可能という特長を有している。カーボンニュートラルへの移行や社会変革がグローバルで明確な潮流となっている中、KOBELCOグループはMIDREX(R)プロセスを通じて、世界の鉄鋼業におけるカーボンニュートラル達成に向けた、CO2削減ソリューションを提供していく。
神戸製鋼所グループは、今後も技術・製品・サービスの提供を通じた新たな価値創造による社会課題解決に貢献することで、顧客や社会にとって”かけがえのない存在”としてあり続けるとともに、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指していく。
※HBI(Hot Briquetted Iron:熱間成形還元鉄)