今回の工事は、一級河川阿賀野川水系の阿賀川に隣接する限られた敷地内において、「スクラップ&ビルド方式」により、稼働を停止したし尿処理施設の解体および新施設建設を段階的に進める。すべての工事完了は、2026年3月2日の予定。今後は、組合を構成する自治体をはじめ、地域の理解を得ながら、工事期間中におけるごみ処理機能の確保に万全を期すとともに、安全確保や周辺環境への配慮を最優先に工事を進めていく。
新施設は、1日あたり196t(98t/24h×2炉)の処理能力を有する。先進の自動燃焼制御「Smart-ACC®※1」を搭載した川崎重工独自の並行流焼却炉に、業界最高水準の高温高圧ボイラ(蒸気条件:6.0MPa×450℃)と抽気復水式蒸気タービンを組み合わせた高効率発電を行うことで、施設内の消費電力を賄うだけでなく、一般家庭における年間使用電力量の約7,200軒分に相当する余剰電力を売電する。発電にあたっては運転計画策定ソフト「WtE SAURS※2」により最適な年間発電計画の策定をサポートする。
また、川崎重工の地震・水害などの災害復旧の経験を活かし、地域の特性に合ったさまざまな災害対策を行う。さらに、周辺環境と調和した建築デザインや会津地域特有の色彩の採用、来場者が自由に交流できる大階段を核としたエントランスホールを創生することで、地域住民が親しみと愛着を感じられる施設とする。従来のごみ焼却施設のイメージを払拭した、地域交流・地域防災・環境学習の拠点として貢献し、ICT活用で市民生活の利便性向上を目指す会津地域の未来の一翼を担うごみ焼却施設を目指す。
なお、今回の建設事業は、川崎重工を代表とした㈱フジタ、㈱梓設計、地元企業の会津土建、㈱白井設計との共同企業体が行い、運営事業は、川崎重工と㈱シンキ、地元企業6社が出資を行う特別目的会社「グリーンパークMIRAiZU株式会社」が行う。
川崎重工は、ストーカ式焼却炉をはじめとした各種廃棄物処理技術を有しており、国内で半世紀以上にわたり多くの一般廃棄物処理施設を手掛けている。今後も多様化する環境問題やニーズに応えるため、積極的な技術開発と販売活動に取り組んでいく。
※1 Smart-ACC : ごみ焼却施設を従来に比べてより高効率で安定した発電施設として機能させるための川崎重工独自の高度燃焼制御技術であり、時間当たりの発電出力調整幅が従来の約2倍に向上し、電力需要に応じた発電が可能となる。
※2 WtE SAURS : 売電収入が最大となる運転計画を自動で策定し、地域のエネルギー センターとしての価値向上に寄与する。
<事業の概要>
事業名:新ごみ焼却施設整備・運営事業
発注者:会津若松地方広域市町村圏整備組合
契約金額:251億9429万円(消費税込み)
<建設事業>
受注者:川崎重工・フジタ・会津土建・梓・白井 特定建設工事共同企業体
建設場所:福島県会津若松市神指町大字南四合字才ノ神504番地外
設備概要:新ごみ焼却施設 ストーカ式焼却炉 196t/日(98t/24h × 2炉)
蒸気タービン発電機 6,120kW×1基
完成予定日:2026年3月2日
<運営事業>
受注者:グリーンパークMIRAiZU株式会社
〔構成企業: 川崎重工業株式会社・株式会社シンキ・会津土建株式会社・株式会社白井設計・株式会社アクーズ会津・株式会社会津電気工事・株式会社あいづダストセンター・玉川エンジニアリング株式会社〕
運営期間:2026年3月3日~2041年2月28日(15年間)