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日立ABBパワーグリッド、サウジアラビア・エジプト間初の大規模 HVDC システムを受注

・電力の相互共有を可能とし、送電網のレジリエンス向上ならびに脱炭素社会の実現を支援

 日立ABBパワーグリッドは10月6日、サウジアラビア電力公社ならびにエジプト送電公社から、サウジ アラビアとエジプトを接続する、容量3,000MWの大規模高圧直流送電(HVDC)システムを受注したと発表した。完成後は、中東・北アフリカ間 を接続するものとして最大規模 の HVDC になる。

 プロジェクトは、サウジアラビアの建設会社 Saudi Services for Electro Mechanic Works(サウジ・サービス・フォー・イレクトロ・メカニック・ワークス)とエジプトの建設会社 Orascom Construction(オラスコム・コンストラクション)とのコンソーシアムで受注したもので、三つのHVDC変換所と変圧器、変換バルブ、高電圧製品の提供と、システム検討、設計・エンジニアリング、試運転、保守サービスなどが含まれている。

 サウジアラビア政府は 2030 年までに電力量の約50%を再生可能エネルギーおよび天然ガスで 賄うことを目標に掲げており、また、エジプト政府も、2035年までに電力量の 42%を再生可能エネ ルギーで賄うことを目標に掲げている。今回のプロジェクトは、サウジアラビアとエジプト間で電力 が融通されることにより、再生可能エネルギーの導入目標達成を支援するもの。また、両国は、 電力の相互共有により、送電網のレジリエンスや安定供給力を強化することができる。加えて、プロジェクトへの投資効果は大きく、両国に新たな雇用を生み出すとともに技術力向上をもたらす。

 サウジアラビアのアブドルアジーズ・ビン・サルマン エネルギー大臣は、「このようなマイルストーン に到達したことは、サルマン・ビン・アブドゥルアジーズ・アル・サウード国王とアブデルファタ・アル・シ シィ大統領を中心とした両国の健全な指示と適切な指導の賜物です。両国間で締結された経済、開 発、政治に関する一連の協定の中で、電力網の相互接続におけるサウジアラビアとエジプトの協力 関係を強化するための MOU が締結されました。本プロジェクトは、サウジアラビア政府が掲げる Vision 2030 政策に沿ったものであり、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(副首相兼国防大臣)の指 導を得ています。サウジアラビアは、その立地を生かし、中東およびアラブ最大の電力網を最適化することで、エネルギー交換の地域的なハブとなり、市場における著名なトレーダーとなることをめざしています。」と述べている。

 エジプトのモハメド・シェイカー・エル・マルカビ 電力・再生可能エネルギー大臣は、「本プロジェクト はエジプトとサウジアラビアの豊かな歴史における関係の深さと両国の賢明な指導力を反映しています。アラブ全体で持続可能な社会・経済目標を達成するために、我々は努力を惜しみません。本プロジェクトはアラブ全体の相互接続の起爆剤となり、2030 年に向けたビジョンを補完するものとなるでしょう。また、経済的・開発的な利益を生み出し、電力供給の安定性と信頼性を約束します。」と述べています。

 日立 ABBパワーグリッド CEO のクラウディオ・ファキンは、「クリーンエネルギーへの移行は、現代 における最も緊急かつ重要な課題の一つであり、カーボンニュートラルな未来を加速するために、私たちは革新と協力を惜しみません。この名誉あるプロジェクトで、サウジアラビアとエジプトのお客さま やパートナーと協力できることを誇りに思います。当社は、HVDC 技術の提供を通じて、国境や時差 を越えた大陸間の大規模な電力共有を実現しています。」と述べている。

■プロジェクトの概要

 架空線と紅海を横断する海底ケーブルによる全長 1,350km、電圧 500kV、最大容量 3,000MW の HVDC 連系プロジェクトで、サウジアラビアの都市 Medina(メディナ)と Tabuk(タブク)、エジプト の都市 Badr(バドル) の三つの拠点に HVDC 変換所を設ける。電力は、三つの拠点間で多方向かつ同時に送電することができる。また、日立製作所の制御システム MACHTM により、電力の流れを 中断することなく、変換所間の電力を制御および逆方向に送電させることができ、送電網の柔軟性 やレジリエンス、電力の安定供給力を提供する。

 HVDC は持続可能なエネルギーへの移行を実現する重要な技術であり、日立製作所は、世界的に拡大する HVDC システムの需要に対応するため、容量の拡大をはじめとした技術開発を継続的に行っている。また、今月商業運転を開始した、自励式 HVDC では世界最長距離となる全長720kmのノルウェー・イギリス国際連系線プロジェクトに参画するなど、約70年前に商用 HVDC 技術を開発して以来、世界の HVDC プロジェクトの半数以上に参画している。

■日立ABBパワーグリッドについて

 日立ABBパワーグリッドは、日立とABB 社で合わせて約 250 年の歴史を持つグローバルテクノ ロジーリーダーであり、90 カ国で約 36,000 人の従業員を擁している。スイス・チューリッヒに本社を置き、エネルギー、インダストリー、インフラ産業のバリューチェーンに加えて、モビリティ、スマート シティ、蓄電やデータセンターなどの新分野にも事業を展開している。日立ABBパワーグリッドは、 グローバルトップの導入実績やフットプリントを生かし、顧客の社会価値、環境価値、経済価値の バランスを向上させる。また、より強じん、よりスマート、よりクリーンなグリッドを実現するためのパー トナーとして、革新的なデジタル技術により“Powering Good for Sustainable Energy”を実現していく。なお、日立 ABB パワーグリッドは、2021年10 月、社名を日立エナジーに変更する。

 ニュースリリース

 

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