新光電気工業(本社:長野県長野市)は10月4日、半導体市場における今後の需要拡大に対応するため、主力製品である高性能半導体向けフリップチップタイプパッケージの生産体制強化を目的として、千曲市に生産拠点を新設するほか、半導体製造装置市場の拡大により需要増加が見込まれるセラミック静電チャックの生産能力増強をはかるため、高丘工場(長野県中野市)内に新棟を建設するなど、2022~2025年度に合計 1,580億円を投資すると発表した。
<フリップチップタイプパッケージの生産体制強化>
(1)計画概要 : パソコンやサーバーなどに搭載されるCPU等の高性能半導体向けフリップチップタイプパッケージは、半導体の高機能化・高速化と省電力化に対応する半導体パッケージとして、今後も旺盛な需要が続くことが見込まれる。新光電気工業は、これまで更北工場(長野市)、若穂工場(同)および 高丘工場(長野県中野市)において、フリップチップタイプパッケージの生産体制強化に努めてきたが、さらなる生産能力拡充をはかるべく、 新たな拠点を開設し4工場体制とするとともに、更北工場・若穂工場におけ る生産能力増強をはかる。
(2)投資額 : 2022~2025年度投資額計 1,400億円
(3)生産能力 : 設備投資によりフリップチップタイプパッケージの生産能力は、現行比約50%程度増強することを見込んでいる。
(4)新拠点の概要(予定)
所在地:長野県千曲市
スケジュール:2022〜2023年度
建設工事:2024年度以降 順次稼働
※新拠点については、現在関係各機関との協議を含め詳細検討中のため、確定次第別途発表する。更北工場・若穂工場における設備投資については、2023年度より稼働開始することを予定している。
■フリップチップタイプパッケージ:パソコンやサーバーのCPUをはじめとする高性能半導 体に使用されている半導体パッケージ。半導体のさらなる高機能化・高速化と省電力対応のため、半導体パッケージの重要性が増しており、新光電気工業のフリップチップタイプパッケージは、最先端のパッケージングテクノロジーにより、微細な配線パターンや多層構造、優れた電気特 性を実現し、顧客のニーズに応えている。
<セラミック静電チャックの生産能力増強>
(1)計画概要 : 中長期的な半導体市場の拡大を背景に、半導体製造装置の基幹部品である セラミック静電チャックは、今後さらに需要が大きく伸長することが見込まれることから、高丘工場内(長野県中野市)に新棟を建設し生産能力増強をはかるもの。
(2)投資額 : 2021~2023年度投資額計 180億円
(3)生産能力 :設備投資によりセラミック静電チャックの生産能力は、既存棟において既 に着手している設備投資による寄与分を含め、現行比約2倍程度に増強することを見込んでいる。
(4)新棟の概要(予定)
所在地:高丘工場内(長野県中野市)
建物構造:鉄骨造 5階建
延床面積:28 千m²
スケジュール: 2021年12月着工、2023年3月竣工、2023年度下期稼働開始
■セラミック静電チャック:半導体製造工程において静電気を用いて半導体の原材料であるシリコンウエハーを吸着・固定する部品。新光電気工業のセラミック静電チャックは、エッチング 装置等の半導体製造装置用として幅広く使用されている。新光電気工業は、セラミックの焼成から 加工、組立および検査の一貫生産による強みを活かし、高品質、低価格、短納期を実現し、顧客の最先端のニーズにあわせた静電チャックを提供している。
新光電気工業は、引き続き成長が見込まれる半導体産業にあって、高性能半導体向けフリップチップタイ プパッケージ、半導体製造装置向けセラミック静電チャックをはじめとして、成長市場向けの設備 投資を今後とも重点的に展開し、顧客にとって価値の高い製品・サービスを提供することを通じ、豊かな社会づくりに貢献し、一層の成長・発展をはかることを目指していく。
なお、同社では、2018年度より高丘工場等においてフリップチップタイプパッケージ の生産体制強化のための大型設備投資を実施してきたが、フリップチップタイプパッケー ジの旺盛な需要のもと、今後、当該設備投資による生産能力増強の収益寄与が本格化する見込み。今回のフリップチップタイプパッケージの新拠点開設等の設備投資に必要な資金については、これらの収益をはじめとする自己資金ならびに借入等をもって充当する方針。