・走破性の高いロボットと自動運転技術の融合によるラストワンマイル課題解決に向けて
世界に先駆けて超高齢社会が到来した日本においては、高齢者人口の増加やドライバー不足などが社会課題となっており、ラストワンマイル配送のさらなる効率化が求められている。これら社会課題の解決策として、各社は自動運転技術の実用化に取り組んできた。
川崎重工は、2030年に目指す将来像として制定したグループビジョン 2030 において、今後注力するフィールドを 「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」としており、「近未来モビリティ」 の一環として、ロボティクスおよびモーターサイクルや多用途四輪車のオフロード走行技術の知見を活かした荒れた 路面や段差のある道路でも安定して走行できる自動搬送ロボットを開発している。
ティアフォーは、オープンソースの自動運転 OS「Autoware*1」の開発をリードし、自動運転技術を用いた サービスの実現に向けた研究開発を進めている。その一環として、自動搬送ロボットに転用可能な自動運転技術 の開発を進めており、これまで自社開発のロボットを利用し、配送コストの削減や人手を介さない新たなサービス の早期実現に貢献するべく実証に取り組んできた。今回の実証実験で行う、自社開発以外のロボットを活用した 実証実験の検討はティアフォーとしては初めての取組みとなる。
損保ジャパンは、交通事故の削減や中山間部における移動手段確保など、社会課題解決の手段として期待されている自動運転技術開発を支援するため、「自動運転専用保険(実証実験向けオーダーメイド型)」を提供し、これまでに 全国各地の自動運転車による公道実証実験に参加している。2020年10月には、自動走行ロボット(自動搬送 ロボット)による配送や作業に関わるさまざまなリスクに対する包括的な補償で「安心」を支える「自動走行ロボット専用保険プラン(実証実験向けオーダーメイド型)」を開発*2 し、自動走行ロボット(自動搬送ロボット)の普及を 支援してきた。
このような背景から、川崎重工、ティアフォー、損保ジャパンの 3 社は、ラストワンマイルにおける物流課題の 解決に向けた自動搬送ロボットの活用可能性を模索するための協力体制を構築し、地域間における人手を介さない 配送を目的とした実証実験を行う。
*1 自動運転 OS「Autoware」は、The Autoware Foundation の登録商標です
*2「自動走行ロボット専用保険プラン(実証実験向けオーダーメイド型)』の開発
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2020/20201005_1.pdf?la=ja-JP
■基本合意の概要
(1)概要
ラストワンマイルの社会課題を解決する自動搬送ロボットの共同開発およびサービス構築における連携を視野に入れつつ、ティアフォーの自動運転技術を組み込んだ川崎重工の自動搬送ロボットによるラストワンマイル配送事業 の事業性・技術性を検証するため、実証実験の詳細に関し、共同で検討を行う。
今後、川崎重工、ティアフォー、損保ジャパンは、同覚書に基づいて実証実験の詳細を検討していく。また、自動運転社会におけるさまざまなユースケースを検証し、地域だけでなく社会全体のラストワンマイル課題の解決に幅広く取り組んでいく。
■各社の役割
川崎重工
・自動搬送ロボットの開発・提供 ・自動搬送ロボットの公道走行許認可取得に必要なハードの設計・改造
・自動搬送ロボットのハードの故障・修理対応
ティアフォー
・オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動搬送 ロボットの開発・提供
・自動搬送ロボットを運行するために必要な運行管理システム、遠隔監視 システムなどの開発・提供
・自動搬送ロボットの自律走行オペレーションの遂行
・実証実験に係る高精度3次元地図の開発委託と提供
損保ジャパン
・実証実験計画の策定
・自動搬送ロボット運行にかかるリスクアセスメント
・自動搬送ロボット向け保険の提供
画像:実証実験で使用する自動搬送ロボット