・コロナからの回復が想定以上、2年連続で増加
・アジアでロックダウンなどの動き、注視が必要
■数見保暢会長(住友建機社長)のコメント
前回(2021年2月)の需要予測会見から半年間で状況も変わってきた。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受けた。一言で言うなら、新型コロナからの経済活動回復が想定以上に大きかった。2021年度は、ほぼ19年度と同じ額になる。この間、各国政府の経済下支えのための公共投資が堅調に推移したこともある。
特に北米については、2020年度から比べると急激に立ち上がっている。やはりコロナからの回復で、想定以上だ。ただ、ここへきてデルタ株の感染拡大もあり注意が必要だが、今のところ極端に悪くなる指標が見当たらない。
中国については、機種によって異なるが、油圧ショベルなどは現地生産化が進んだこともあり、中国向けの国内からの出荷が減少してきた。最近では、油圧ショベルを例にとると、中国国内メーカーのシェアが80%以上、外資系メーカーのシェアが大きく落ち込んでいることなども影響している。
また、ベトナムではロックダウンが行われるなど、アセアンの一部で行動が制限され操業面で影響を受けるなど、当面は注視する必要がある。
■国内出荷:21年度は3%増の8,839億円、22年度は1%増の8,911億円
この結果、2021 年度合計では、8,839億円(前年度比3%増)となり2年ぶりに増加すると予測している。前回本年2月時の予測(99%)と比較して、4ポイント上方修正となった。金額で、3,857億円の増加となった。
2022 年度は、安定した公共投資や民間設備投資の回復が予測され、上期計では、4,133億円(前年同期比1%増)。下期計では、4,778億円(前年同期比1%増)と予測している。
この結果、2022 年度合計では、8,911億円(前年度比1%増)となり、2年連続の増加と予測している。
■輸出:21年度は24%増の1兆3,343億円、22年度は5%増の1兆4,068億円
この結果、2021 年度合計では、1兆3,343億円(前年度比24%増)となり、3年ぶりに増加すると予測している。前回本年2月時の予測(106%)と比較して、18ポイント上方修正となった。
2022 年度も、3大輸出先(北米、欧州、アジア)を中心に増加すると予測し、上期計では6,208億円(前年同期比7%増)、下期計では7,860億円(前年同期比5%増)と予測している。
この結果、2022 年度合計では、1兆4,068億円(前年度比5%増加)となり、2年連続の増加と予測している。
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資料は、一般社団法人日本建設機械工業会(会長:数見保暢=住友建機社長)が、2021年7月時点で正会員である建設機械メーカ62社を対象に実施した需要予測結果を取りまとめたもの。予測期間とした2021 年度上下期と2022 年度上下期の4期に関して、建設機械を9機種に区分し、国内出荷金額及び輸出金額をアンケート方式により予測調査をしたものであり、今回で60回目の調査となる。