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ENEOS、超高圧・高圧電線絶縁用ポリエチレンの生産能力を増強

 ENEOSは7月29日、100%子会社である㈱ENEOS NUC(以下、NUCは、再生可能エネルギーの電源開発を背景に需要が増加する超高圧・高圧電線 の絶縁用途に使用されるポリエチレンの生産能力を約3万トン増強する設備投資を行うと発表した。

 世界的な脱炭素化の動きを背景に 再生 可能 エネルギーの電源開発が世界規模で進む中、洋上風力発電など、需要地までの距離が長い分散化型電源の開発が加速しており、これに伴い、送電線として使用される超高圧・高圧電線の 絶縁用ポリエチレンの需要がアジア および欧州を中心に急速に拡大している。

 この需要の増加は、中長期的に継続することが見込まれることから、今回、 NUCは、 約120億円の新規設備投資を行い、川崎工業所の生産能力を約3万トン増強することにした 。 同設備は2023年7月に完成し、商業運転を2023年12月に開始する予定 。

 超高圧・高圧電線は、社会的にも重要なインフラであり、極めて 高い品質が求められる。 そのため、電線絶縁用ポリエチレンの製造には、漏電防止を担保する高い絶縁性および製品中の微細な異物の除去を実現する技術を要する。

 NUC は、世界で数社だけが保有する同技術を有し、30年以上にわたって絶縁用ポリエチレンを開発・生産し、主にアジアの電線加工メーカーに対して販売している。また、これらの技術に加え、長期間の使用にも耐え得る優れた品質性能は、世界のトップクラスの高評価 を得ていることから、今回の生産能力増強により新たな需要の確実な取り込みを行い、更なる競争力強化を図る。

 ENEOSは、2040年グループ長期ビジョンにおいて、成長分野のグローバル展開や技術立脚型事業の拡大を推進すると共に、革新的な事業を創出・実行することにより、持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals )の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう 」の達成に貢献 することを目指すこととしている。

 絶縁用ポリエチレン事業は、石油化学部門の技術立脚型事業のひとつであり、 ENEOSおよびNUCは、今後も技術開発や市場成長に合わせた供給体制を検討していく。

<株式会社ENEOS NUCの概要>

代表者:代表取締役社長 北原 英一郎(きたはら えいいちろう)

設立年月:1961年1月

資本金:20億円

所在地:本社:神奈川県川崎市川崎区駅前本町12番1号 川崎駅前タワー・リバーク10階

川崎工業所:神奈川県川崎市川崎区浮島町8番1号

事業内容:高圧法低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの製造、販売

出資比率:ENEOS株式会社100%

<超高圧・高圧電線絶縁用ポリエチレン>

・架橋ポリエチレン絶縁層

 電線被覆材料として、中央の銅線を流れる超高圧・高圧の電気を絶縁する(電気を通さない)役割を果たしている。製造工程において樹脂に含まれ、電気を通し損傷の原因となる微細な異物を、徹底的に除去するクリーン化技術、絶縁性能が向上する添加剤などの配合技術が使われている。

・半導電架橋ポリエチレン絶縁層

 乳白色の架橋ポリエチレン絶縁層の周囲に、半導電性の薄い膜を置き、その絶縁性能を向上させる役割を果たしている。

 ニュースリリース

 

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