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富士フイルム、欧米拠点に約900億円投資、バイオ医薬品の開発・製造受託事業を拡大

・需要が増加する新型コロナウイルス感染症のワクチンや最先端医療分野の遺伝子治療薬などバイオ医薬品の原薬生産能力を大幅増強

・欧米拠点に約900億円の大型設備投資を決定

 富士フイルムは6月29日、バイオ医薬品(※1)の開発・製造受託事事業をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMO(※2)の中核会会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies((以下FDB)の欧米拠点に総額約900億円の大型設備投資を行うと発表した。

 今後、製造設備を増強し、需要が増加加する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンや最最先端医療分野の遺伝子治療薬などのバイオ医薬品の原薬生産能力を大幅に向上させる。なお、増強設備の稼働は、2023年後半を予定している。

 富士フイルムは、抗体医薬品や遺遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオオ医薬品の生産プロセスの開発受託、小量生産から大量生産産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応でできる強みを活かして、バイオ医薬品の開発・製造受託事業の拡大を進めている。現在、拠点拡充や設備増増強により生産能力を大幅に拡張するとともに、培養から精製製までの原薬製造工程の一貫生産が可能な連続続生産システム(※3)をバイオCDMO業界で初めて(※4)開発するなど高効率・高生産性を追求した技術開発を推進進している。

 今回、富士フイルムは、米国にあるFDBの既存拠点に、機動性に優れるシングルルユース(※5)仕様の2,000リットル細胞培養タンクなどの製造設備備を新たに導入することで、米国における、遺伝子組換えタンパクワクチン(※6)の原薬製造能力を現行の約22倍に向上させる。また、遺伝子治療薬にも対応した設備とすることで、需要が増加しているCOVID-19ワクチンのみならず、最先端医療分野の遺伝子治療薬などの受託ニーズに応えていく。

 英国拠点では、遺伝子治療薬のププロセス開発・原薬製造が可能な新棟を建設し、同拠点内の原薬生産能力を現行の10倍以上に拡大させる。また、動物細胞培養によって製造する抗体医薬品では、小・中量の培養タンクの追加導入により、英国拠拠点内の原薬生産能力を約3倍に増強。特に欧欧州における小・中規模生産の受託ニーズに応えるとともに、大大型培養タンクを有するデンマーク拠点での大規規模生産にスムーズに繋げる受託基盤で顧客の新薬開発を支支援していく。さらに、新棟スペースを利用して、連続生産システムによるGMP(※7)製造が可能な設備を導入。同システムを用いた商業生産も行っていく計画。

 この他、微生物培養によって製造すする遺伝子組換えタンパク医薬品では、既存ライインの精製設備の増強などにより、英国拠点内の原薬生産能力力を約2倍に高め、需要増に応えていく。

 バイオ医薬品の市場は、抗体医薬薬品や遺伝子治療薬の需要拡大、COVID-19ワククチンをはじめとした新手法を用いたワクチンの需要増から、今後も伸長していくと予想されている。バイオ医薬品の製造には高度な生産技術と設備が必要とされるため、製薬会社やバイオベンチャーはそれらを有するCDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが増えており、今後もこのトレンドは継続するとみている。

 富士フイルムは、2011年にバイオオ医薬品の開発・製造受託市場に参入した。また事業成長を一段と加速させるために、昨年から今年にかけて20,000リットル細胞培養タンクの増設や大型型製造拠点の新設など大規模設備投資を決定・実行している。なお、M&Aも含めた、これまでのバイオCDMOO事業における総投資金額は、今回発表する投資も加えて約6,000億円に上る。

 今後、富士フイルムは、高品質なバイオ医薬品の安定供給を通じて顧客をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応など社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業のさらなる発展に貢献していく。

※1低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質などの生体分子を活用した医薬品。インスリンや成長ホルモンの他に、ワクチン、抗体医薬品、遺伝子治療薬などを含む。

※2 Contract Development & Manufacturing Organizationの略。薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。※3バイオ医薬品の原薬の製造工程である、培養から精製までをシームレスに繋ぎ一貫生産を可能とするシステム。※4富士フイルム調べ。※5培養タンクの内側にプラスチック製のバックを用いる仕様。バックを交換することで洗浄・滅菌の工程が省かれ、異物の混入などのリスクも低減できるなどのメリットがある。※6ウイルスの抗原タンパク質を、遺伝子を組み換えた細胞などに産生させて作製するワクチン。

※7 Good Manufacturing Practiceの略。医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理規則のこと。

(参考)FUJIFILM Diosynth Biotechnologies概要

 FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)は、英国・米国・デンマークに拠点を有し、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の開発・製造受託を行っている。30年以上にわたる実績・経験を持ち、業界をリードする独自の高生産性技術「pAVEway™」「Apollo™X」を活用した細胞株開発からプロセス開発、治験薬製造、商業生産まで包括的な受託サービスを提供している。

 FDBは、英国のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies UKLimited(FDBK)、米国のFUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A.,Inc.(FDBU)とFUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas,LLC(FDBT)*、デンマークの FUJIFILM Diosynth Biotechnologies DenmarkApSで構成されており、FDBKと FDBUは三菱商事株式会社より20%の出資を受けている。

*FDBTはFDBUの100%子会社。

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