・荷役機器の新モデル開発や水素燃料電池転換によりCNPにも対応
その第一弾として両社は、2022年秋ごろの発売を目指し、タイヤ式門型クレーン(RTG:Rubber Tired Gantry crane:画像・上)の新モデル開発に着手した。従来のハイブリッド型で使用される蓄電池の容量はそのままに、ディーゼル発電機のエンジン排気量・出力を抑え、新たに搭載するエンジンコントローラーにより最適かつ効率的な燃焼制御とすることで国土交通省の排出ガス規制(4次基準値)に対応する。これによりCO2をはじめNOx(窒素酸化物)、PM(黒煙粒子状物質)の排出量を削減するとともに、従来比15%以上の燃費改善が見込まれる。
また、この新モデルは、ディーゼル発電機を固体高分子形燃料電池に換装可能な仕様での開発を進めている。近い将来、ディーゼル発電機と同等に出力可能な固体高分子形燃料電池が市場で流通することが予測されており、これらの燃料電池を既存発電機と換装することでCO2排出量ゼロに対応することが可能となる。両社は、こういった市場動向や技術革新の進捗状況などを踏まえ、現在市場で入手可能な固体高分子形燃料電池の出力レベル同等までディーゼル発電機の出力を低減した場合の効果も併せて検討しており、その結果、従来比で蓄電池容量を5倍以上増加させる必要があることや、燃費は40%程度改善するなどといったデータを得ている。この新モデル以外にも、ディーゼル発電機を燃料電池に換装することでゼロカーボン化が実現できる製品について、可能な限り多角的に検討を行っている。
三菱重工グループは、港湾・臨海部における荷役機器の脱炭素化を推進することで、温室効果ガスの排出削減と将来的なカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
(注)国土交通省が全国6地域の港湾(小名浜港、横浜港・川崎港、新潟港、名古屋港、神戸港、徳山下松港)を対象に検討を進めている、港湾機能の高度化を通じて温室効果ガスの排出ゼロを目指す政策。