2020年度における国内経済は、米中通商問題の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による影響はあったものの、輸出や生産活動は持ち直し、景気は緩やかながらも回復基調となった。設備投資は、企業収益の悪化や先行きの不透明感から延期や中止の動きが継続してみられた。そのような中、電子産業においては、5GやIoT向けなど情報通信技術の用途の拡がりを背景とした投資が行われ、底堅く推移した。
■セグメント別の状況
<自動機械部門>
産業機械では、リチウムイオン電池製造システムの売上高は増加したものの、三次元はんだ印刷検査機の売上高は減少した。また、自動包装システムは、売上高が減少した。その結果、売上高は141億63百万円 (前期比10.3%減) 、セグメント利益はセールスミックスの変化や新たな中国市場向け装置の開発費増加などによりり、16億59百万円(同43.3%減)となった。
<機器部門>
海外市場では、製造業全般で生産活動の正常化が進んだ中国、半導体設備投資が底堅く推移した韓国や台湾などで売上高が増加した。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により東南アジアの売上高は減少した。
その結果、売上高は925億60百万円 (前期比9.0%増) 、セグメント利益は生産性改善や経費削減の効果により、100億76百万円(同59.8%増)となった。
■今後の見通し
2022年3月期(2021年度)の世界経済は、新型コロナウイルス変異種による感染拡大や活動規制への懸念で依然として不確実性は高いものの、ワクチンの普及による感染症の収束や各国政府の追加経済対策への期待も高まり、回復基調が継続していくと想定している。
社会の価値観や市場そのものが大きく変化し、デジタル化が促進される中、CKDグループを取り巻く事業環境は、製造業の自動化・省人化需要の高まり、半導体設備投資といった電子産業における投資拡大、自動車の電動化に向けた需要の増加等により、グローバルで着実な回復を見込んでいる。
ただし、米中間の貿易摩擦が及ぼす影響、一部部材の供給不足等のリスク、地震や自然災害が及ぼす影響、さらに地政学的リスクや為替変動が及ぼす影響に注視していく必要がある。以上の状況より、2022年3月期(2020年度)の連結業績予想は下記のとおり。
売上高 1,180億円(前期比10.6%増)、営業利益 110億円(同42.9%増)、経常利益110億円(同40.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益75億円(同42.2%増)。為替レートは、1米ドル105円を前提としている。