2020年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックおよび米中貿易摩擦の影響により大幅に減速し、景気は低迷した。国内経済においても、新型コロナウイルスの感染拡大の波が幾度と訪れたことにより景気は大きく低迷した。射出成形機業界では、医療関連での需要は堅調に推移したものの、自動車関連を中心に需要が大きく減少した。中国市場では、需要が先立ってコロナ禍以前の水準まで回復したが、欧米、国内市場では、新型コロナウイルス感染症の影響から需要の完全回復には至っておらず、厳しい受注環境となった。
このような状況のもと、日精樹脂工業グループは、長期的観点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年３月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて、第64期（2019年度）を初年度とする第三次中期経営計画に基づき、事業を推し進めた。この結果、新型コロナウイルス感染症および長期化する米中貿易摩擦による影響等により、第65期（2020年度）においては業績予想値を達成できなかった。
■セグメントの状況
＜日本＞
＜欧米地域＞
NEGRI BOSSI S.P.A.グループを子会社化したことおよび医療関係を中心に需要が堅調に推移したこと等から、売上高は164億２千３百万円（同131.6％増）、セグメント利益は３億５千８百万円（同94.2％増）となった。
＜アジア地域＞
IT関連を中心に需要が堅調に推移したこと等から、売上高は110億５千２百万円（同10.5％増）、セグメント利益は５億９百万円（同20.6％増）となった。
■製品別売上高
■次期見通し
2022年３月期（2021年度）の見通しについては、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う経済停滞懸念および米中貿易摩擦の長期化等、日精樹脂工業グループを取り巻く経営環境は不透明ではあるものの、ワクチン接種の拡大に伴い、世界経済は徐々に景気が回復するものと予想される。
このような状況下において、日精樹脂工業グループは、国内の営業活動としては、展示会に代わる内覧会および各拠点を有効活用した提案型営業および動画配信等によるソリューションビジネスモデルを提案し、顧客満足度の向上を図っていく。海外の営業活動としては、欧米地域においてNEGRI BOSSI S.P.A.とのコラボレーションを強化し、既存顧客への再販と新たな市場開拓を図っていく。また、米国工場の経営統合による販売体制を強化すると共にNEGRI BOSSI S.P.A.の販売拠点の見直しを行い、米国シェアの向上を図っていく。
生産体制は、生産技術、品質保証部門の強化によりグローバルサプライチェーンの充実を図り品質、コスト、納期の改善を進めていく。商品開発については、脱炭素社会の実現に向けた市場のニーズに応えるため、ロードマップに即した計画的な開発と商品化を推進し、IoTを活用した成形工場のスマート化の実現、省スペース、ダウンサイジングの次世代戦略機の開発・量産をシリーズ化、環境対応素材成形機の拡販等を進めていく。
2022年３月期（2020年度）の連結業績見通しについては、売上高43,600百万円（前期比4.8％増）、営業利益2,400百万円（同109.5％増）、経常利益3,350百万円（同212.8％増）、親会社株主に帰属する当期純利益2,450百万円（同309.1％増）を予想している。