損益面では、営業利益は、環境・プラント部門で減少したが、機械部門及びインフラ部門で大幅に改善したこ とより、前期を10.8%上回る153億96百万円となった。営業利益の増加により、経常利益も前期を25.1%上回る117億92百万円と なった。特別損失として減損損失を計上したものの、親会社株主に帰属する2020年度純利益についても、前期を93.8%上回る42億58百万円となった。
こうした中で、日立造船グループでは、2020年度からスタートした中期経営計画「Forward 22」のもと、製品・サービ スの付加価値向上、事業の選択集中の推進とリソースの伸長分野へのシフト、業務効率化・生産性向上による働き方 改革を基本戦略として、各種重点施策を鋭意推進している。
日立造船2021年3月期データ
■セグメント別業績概況
<環境・プラント部門>
国内ごみ焼却発電施設の大口工事が減少したものの、海外ごみ焼却発電施設の大口工事が進捗したことにより、 売上高は前期を上回る269,450百万円となった。一方、営業利益は、海外子会社の収益改善があったものの 売電事業の悪化及び環境新製品のコスト増等により、前期を下回る12,682百万円となった。
<機械部門>
自動車業界向けプレス機械の減少等に伴い、売上高は前期を下回る101,715百万円となった。営業損益は、 プロセス機器及び舶用原動機の収益改善等により、前期の営業損失から転じて1,847百万円の利益計上となった。
<インフラ部門>
大口工事の減少により、売上高は前期を下回る29,100百万円となったものの、営業損益は、前期の新製品におけ る補償工事費の発生がなくなったこと等により、前期の営業損失から転じて785百万円の利益計上となった。
<その他部門>
売上高は前期を下回る8,325百万円、営業利益も前期を下回る192百万円となった。
■次期の見通し
日立造船グループは、2021年4月1日、ものづくり事業の伸長を図るため機械事業本部と社会インフラ事業本部を統合し、機械・インフラ事業本部に再編した。これに伴い、2021年度度より、報告セグメントを 「環境・プラント事業」、「機械事業」、「インフラ事業」及び「その他事業」の4セグメントから、「環境事 業」、「機械・インフラ事業」及び「その他事業」の3セグメントに変更した。
2022年3月期(2021年度)次期の連結業績の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により依然として厳しい状 況が予想されるものの、全てのセグメントで案件の増加を織り込んだ結果、受注高は、2020年度を上回る4,500億円を目標とする。一方、売上高は、2020年度とほぼ同レベルの4,000億円を見込んでいる。営業利益は、環境部門で高採算案件の進捗が一服すること及び機械・インフラ部門では新型コロナ ウイルス感染症拡大の影響に伴う手持工事の減少による影響を見込むこと等により、2020年度を下回る140億円となる見込み。経常利益は90億円、親会社株主に帰属する2020年度純利益は50億円となる見 込みである。