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古河機械金属、20年度売上は3.3%減の1,597億円、機械事業は17%減の686億円

 古河機械金属が5月13日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高は、1,597億2百万円(対前期比55億13百万円減、3.3%減)、営業利益は、55億92百万円(対前期比31億円減、35.7%減)となった。うち産業機械、ロックドリル、ユニックの機械事業売上高は、686億35百万円(対前期比140億56百万円減、17.0%減)、営業利益は、39億68百万円(対前期比33億74百万円減、46.0%減)となった。

 各報告セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響については、濃淡があったが、主として、産業機械、ロックドリルおよびユニックの機械事業ならびに化成品部門は、減収減益となり、金属部門および電子部門は、増収増益となった。なお、不動産事業については、古河大阪ビルの閉館に伴い、減収となったが、営業利益は、前期並みとなった。経常利益は、主として、為替差損益および持分法投資損益の好転により、67億73百万円(対前期比13億61百万円減)となった。特別利益に投資有価証券売却益40億78百万円を計上し、また、特別損失に古河大阪ビルの解体工事の進捗に対応した費用7億30百万円ほかを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、74億68百万円(対前期比30億36百万円増)となった。

 2020年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症が世界的に感染拡大する中で、4月には全都道府県を対象に緊急事態宣言が発出され、個人消費の減少や企業の設備投資計画の見直しなど、国内需要の下振れの影響は大きく、4月から6月期は、リーマン・ショック以来の大幅なマイナス成長となった。緊急事態宣言解除後の7月から9月期には、4四半期ぶりにプラス成長に転じ、海外経済の改善や先送りとなっていた設備投資計画が再開されるなどして10月から12月期も緩やかな景気回復が続いたが、年明けに一部都府県に対して緊急事態宣言が再発出されるなど、国内経済は、一進一退の状況が続いており、新型コロナウイルス感染症が収束し、感染拡大以前の経済活動の水準まで回復するには時間を要するものと見込まれている。

 古河機械金属2021年3月期(機械事業)データ

■機械事業の概況
<産業機械>
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響としては、一部工事の中断や延期等があったものの限定的で、山城総合運動公園城陽線(城陽橋)橋りょう新設改良工事(京都府京田辺市)や、中央新幹線第一首都圏トンネル新設(北品川工区)工事向け密閉式吊下げ型コンベヤ(SICON®)の受注など、当期末の受注残高は、対前期末増となった。しかしながら、当期の売上高については、マテリアル機械では、中間貯蔵施設(福島県双葉郡双葉町)向け関連設備の売上の計上があった前期と比べて減収となり、また、大型プロジェクト案件では、小名浜港湾国際バルクターミナル向けの荷役設備、東京外かく環状道路工事向けベルトコンベヤ、境川金森調節池造成工事(東京都町田市)向け密閉式吊下げ型コンベヤ(SICON®)等について出来高に対応した売上を計上したが、前年度に大部分の工事が進捗したため、減収となった。
 産業機械部門の売上高は、166億82百万円(対前期比65億55百万円減)、営業利益は、21億13百万円(対前期比10億94百万円減)となった。

<ロックドリル>
 国内外で新型コロナウイルス感染症拡大の影響があり、減収となった。国内では、全般的な機械の稼働率の低下や経済の先行き不透明感に起因する新たな機械の購入の一時的な見送りなどにより、油圧クローラドリル、油圧ブレーカおよび油圧圧砕機の出荷の減少が大きく、減収となった。一方、トンネルドリルジャンボについては、需要に影響はなく、2020年6月に販売を開始した全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』の売上高への寄与もあり、増収となった。海外では、中国や一部の国・地域を除いて、行動制限などにより依然として経済活動のレベルが低く、一年を通じて、全般的に機械の購入に消極的な状況が続き、特に、東南アジアにおいては油圧クローラドリルの出荷が減少し、北米においてはレンタル会社向けの油圧ブレーカの出荷が減少するなどして、減収となった。
 ロックドリル部門の売上高は、241億49百万円(対前期比35億13百万円減)、営業損失は、13億24百万円(前期は1億42百万円の利益)となった。
<ユニック>
 国内では、トラックの納入延期や工事の中断・延期、レンタル会社の投資の見送りなど、特に首都圏において新型コロナウイルス感染症拡大の影響が顕著で、ユニッククレーンの受注は低調でしたが、第2四半期以降は、トラック需要が徐々に回復傾向となり、ユニッククレーンの受注も前年度並みとなっています。しかしながら、主として、前期にあった移動式クレーン構造規格の一部改正前の駆け込み需要による受注機の出荷や、小型トラックの排ガス規制前の駆け込み需要による出荷増加の反動による出荷減少が大きく、減収となった。海外では、主として、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、ユニッククレーンの出荷が減少し、また、欧米におけるミニ・クローラクレーンについても、都市部の建設現場の工事中断などによる影響で出荷が減少し、減収となった。
 ユニック部門の売上高は、278億4百万円(対前期比39億87百万円減)、営業利益は、31億80百万円(対前期比8億12百万円減)となった。

■次期の見通し
 2022年3月期の通期の業績予想については、売上高は、2021年3月期に比し、増収となる見込み。機械事業については、3部門ともに増収で、産業機械部門では、橋梁や大型プロジェクト案件で増収となり、ロックドリル部門およびユニック部門では、国内外ともに、新型コロナウイルス感染症の影響からの緩やかな需要回復を想定し、増収となる見込み。

 素材事業については、主として、金属部門で、銅価の前提を上期、通期ともに8,000ドル/トンとしたため、電気銅が増収となり、電気金は生産数量の増加により増収となる見込み。電子部門では結晶製品やコイルの需要増加を想定し、増収となり、化成品部門は、当期並みとなる見込み。また、不動産事業については、当期並みとなる見込み。

 営業利益は、2021年3月期に比し、増益となる見込み。機械事業については、3部門ともに自粛を余儀なくされていた営業活動の再開による経費の増加などがあるものの、増収による増益を見込んでいる。産業機械部門は、橋梁で好採算の案件が寄与した当期並みとなる見込み。また、ロックドリル部門は、2020年度に大きく減少した需要の緩やかな回復を見込み、営業損失を計上した20年度から営業利益に転じる見込みで、ユニック部門は、若干の増益となる見込み。素材事業については、電子部門および化成品部門は、当期並みとなる見込みだが、金属部門は、20年度に1年を通じて上昇基調にあったことにより、営業利益計上の要因となった金属価格の変動を見込んでいないため、営業損失を計上する見込み。また、不動産事業については、修繕費などの経費の増加を見込み、若干の減益となる見込み。

 経常利益は、為替差益の計上が寄与した当期に比し、若干の減益となる見込みで、親会社株主に帰属する当期純利益についても、特別利益に投資有価証券売却益40億78百万円を計上した当期に比し、減益となる見込み。

 2022年3月期の通期の業績予想は、売上高は1,844億円、営業利益は66億円、経常利益は66億円、親会社株主に帰属する当期純利益は36億円。為替相場の前提は、上期、通期ともに108円/米ドルとした。

 古河機械金属の2021年3月期決算短信

 

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