このような経済環境のもと、アマダグループでは、レーザ、ベンディングを中心とする商品ラインアップ拡充および自動化推進、お客様向けのIoTソリューションであるV-factory等によるアフタービジネスの強化など、コロナ後の環境変化を見据えた攻めの経営戦略とともに、経費削減や拠点再編を通じた収益体質の強化を推進した。
アマダ2021年3月期データ
■事業別・地域別の概況
① 金属加工機械事業
<板金部門>
日本:日本経済は、資本財出荷指数が第1四半期をボトムに回復するなど、持ち直しの動きが見られましたが、依然として新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回っている。また第4四半期では、二度目の緊急事態宣言等を背景にGDPも再びマイナスに転じるなど、厳しい状況が続きました。こうした中、配電盤・制御盤やサーバーラックなど、5G関連での需要は堅調に推移したが、その他の販売が低調に推移したことで、売上収益は79,923百万円(前期比20.4%減)となった。
北米:米国経済は、第1四半期に急減速したものの政府による大規模な財政政策や金融緩和を受け、第2四半期以降、回復が続きました。このような中、アマダでも新型コロナウイルス感染拡大による設備投資の手控えの影響により販売減となったが、他地域と比較して小幅減少となった。特に5G関連投資や新型コロナウイルスに関連した医療機器関連、アウトドア関連、物流関連向けの需要が堅調に推移し、販売活動における迅速なWeb化も奏功したことで、売上収益は44,581百万円(前期比17.4%減)となった。
欧州:欧州経済は第2四半期から一旦、回復に転じましたが、秋口からの感染再拡大に対応したロックダウン等の影響で、回復にブレーキが掛かった状況です。そのような中、アマダにおいても第2四半期には医療機器関連向けや建築関連向けにおいて需要環境は改善したものの、その他の業種では設備投資の手控えが見られ、主要市場の中でもイギリスでは回復の兆しが見られましたが、ドイツやフランス、イタリア等を中心に販売が減少したことで売上収益は34,700百万円(前期比26.1%減)となった。
アジア他:中国経済は他地域に先がけて回復に転じ、供給代替により輸出が好調に推移したことで、製造業においても医療関連や、電子・通信設備を中心に設備投資が堅調に推移した。アマダにおいても基地局用通信機器や配電盤・制御盤などの5G関連投資向け販売等は堅調でしたが、その他の業種向けは不調だったため販売は微減となった。一方、その他のアジア・新興国経済でも年度後半から多くの国で回復基調が見られたものの、ASEAN地域では、総じて厳しい状況が続きました。アマダにおいても、期末にかけて韓国、インド等で設備投資に戻りが見られましたが、タイやベトナム等で売上が大きく落ち込んだ。以上からアジア他全体として、売上収益は22,759百万円(前期比16.5%減)となった。
<微細溶接部門>
他地域に先んじて経済が回復した中国においてはEV等の電池向けの販売が好調に推移し、国内でもEV関連や5G関連での需要は見られましたが、総じて年度前半の主要顧客である電装品等の自動車部品関連業種における新規設備投資抑制の影響を受け、販売が減少した。
② 金属工作機械事業>
売上収益は46,176百万円(前期比25.2%減)、営業利益は3,608百万円(前期比44.6%減)となった。
<切削部門>
政府の支援策によりインフラ投資の活性化やマスク等の感染症関連需要の見られた中国を除き、各地域ともに売上収益は減少した。特に国内は、主要顧客である自動車関連の生産や粗鋼生産高が総じて低調だったため、鋼材業の稼働率も縮小したことで販売が大きく減少した。また、北米も第4四半期に鋼材業向け等に一部回復の兆しが見られたものの、年度全体としては同様に新規設備投資停滞の影響を大きく受け、低迷した。
国内では、主要顧客である自動車関連業界において、年度末にかけて生産量の戻りが見られたものの、大型の設備投資については依然として抑制や納期延伸の傾向にあったため、大型の自動機の販売が大きく落ち込み、売上収益が減少した。
<研削盤部門>
国内では、EV関連などの一部の需要に戻りが見られたものの、全般的な設備投資抑制傾向の影響で、主要業種である金型・工具関連向けに主力のプロファイル研削盤の売上収益が大幅に落ち込んだ。中国、ASEANでも同様に低調な推移が続き、第4四半期に入り設備投資回復の動きが見られた欧米での販売増加はあったものの、部門全体としての売上収益減少をカバーするには至りませんでした。
■今後の見通し
今後の世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種により感染拡大が収束に向かう可能性がある一方で、変異株の急拡大や長引く米中貿易摩擦、各国の財政、金融政策の持続性等により、先行き不透明な状況が続くことが見込まれる。
このような経営環境の中、次期のアマダグループの業績については、製造業の設備投資が緩やかに回復基調に転じることを想定し、現時点では次のとおり見込んでいる。
売上収益2,800億円(前期比11.8%増)、営業利益300億円(同12.3%増)、親会の所有者に帰属する当期利益210億円(同13.1%増)。
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