・鉱山の安全性向上に寄与するソリューションを強化、鉱山運行管理システムの高度化を実現
安定した稼働が求められる鉱山現場において、超大型油圧ショベルやリジッドダンプトラックのオペレータは周囲環境に留意しながら、長時間にわたり運転操作を繰り返す必要がある。オペレータは、適切なシフト管理により運転操作に従事しているが、疲労度には個人差があり、また、その日の体調などにも左右される。オペレータの疲労による集中力の低下や居眠りが発生した場合は、重大な事故につながる可能性がある。
スマートキャップ社の技術は、ヘルメットなどの内部に疲労検知デバイスを装着し、オペレータの脳波の変化から疲労度をリアルタイムに検知する。これまでに大規模鉱山の顧客を含め、長距離を運転するトラックオペレータなど5,000名以上(2021年4月時点)の使用実績がある。オペレータの疲労を検知する手法は、これまでに自動車を中心にカメラ映像を分析する方法など、さまざまな手法が提案されている。スマートキャップ社の技術は脳波を活用するため、オペレータの運転中の姿勢の変化や身体的特徴などの影響を受けずに、安定して疲労度を検知できる点が強み。疲労検知デバイスはスマートフォン用のアプリと連携し、警報によりオペレータの居眠りを抑制するほか、運行管理者に注意喚起を促すこともできる。
日立建機とウェンコ社は、今回の買収により、鉱山の安全性向上に寄与するソリューションを強化し、鉱山運行管理システムを高度化する。例えば、疲労状態を考慮した人員交代のタイミングや負担の少ない走行ルートを、鉱山運行管理システムが自動的に作成してオペレータに指示することができるようになる。
日立建機グループは、これまでも、社外の技術やサービスを用いて新しい価値を創り出す「オープンイノベーション」を進めてきた。今後も、事業戦略上必要となるオープンイノベーション活動を加速させ、世界中の鉱山業界の顧客に、ICT、IoTを活用したソリューション「Solution Linkage🄬」を提供し、顧客の求める、より高い安全性と生産性の向上に貢献していく。
■ウェンコ社 CEO アンドリュー パインのコメント
ウェンコ社は、スマートキャップ社がお客さまの安全性の向上に寄与する功績を長い間、見守ってきました。最終的には、両社の技術、人財、ビジネス上の関係性をウェンコ社に集約することが、鉱山現場の安全性向上に寄与するビジョンを実現するために、最大の機会になると判断しました。
■スマートキャップ社 CEO ティム エカートのコメント
今回の買収は、スマートキャップ社にとって重要なステップです。私たちは、会社設立から今日に至るまでに大きな進歩を遂げ、オペレータの疲労による事故防止に努めてきました。ウェンコ社の一員になることで、私たちはさらに成長し、より多くの産業で安全性の向上に寄与できると確信しています。
<ウェンコ社の概要>
社名:Wenco International Mining Systems Ltd.
事業内容:鉱山運行管理システムの開発、製造、販売、保守
代表者:取締役会長:福本 英士、取締役社長兼CEO:Andrew Pyne(アンドリュー パイン)
株主:日立建機100%
設立:1986年
従業員:170人(2021年3月末時点)
ウェブサイト https://www.wencomine.com/
<スマートキャップ社の概要>
社名:SmartCap Technologies Pty Ltd
事業内容:疲労検知技術による居眠り防止デバイスの開発・販売
代表者:Director: Charles Gillies(チャールズ ギリーズ)、 CEO: Tim Ekert (ティム エカート)
設立:2011年
従業員:20名(2021年4月末時点)
ウェブサイト http://www.smartcaptech.com/
画像:疲労検知デバイス 使用イメージ