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タダノ、2020年度売上は18.4%減の1,860億円、21年度予想は15.6%増の2,150億円

 ㈱タダノが4月28日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高は1,860億4千万円(前期比81.6%)となった。うち、日本向け売上高は、高所作業車が増加、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが減少し、932 億7千7百万円(前期比89.2%)となった。海外向け売上高は、2019 年7月31 日に買収を完了したDemag ブランドのクレーン事業連結により、欧州は増加したものの、それ以外の地域は減少し、927 億6千3百万円(前期比75.2%)となった。海外売上高比率は49.9%となった。(前期比等の表記方法は原文まま)

 売上減少に加え、販売機種構成の変化と減産による影響もあり、売上原価率は悪化し、売上総利益は減少した。販売費及び一般管理費は、Demag 事業連結による増加があったものの、経費削減に努めた結果減少し、営業利益は41 億9千6百万円の損失(前期139 億4千9百万円の利益)、経常利益は46 億8千3百万円の損失(前期137 億9千1百万円の利益)となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、排ガス規制関連損失引当金繰入、投資有価証券評価損、欧州事業再生関連費用を計上した結果、129 億8千7百万円の損失(前期64 億3千3百万円の利益)となった。

 タダノ2021年3月期データ

■経営成績の概況

 2020年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資や輸出は低迷し、景気は極めて厳しい状況が継続した。海外においても、新型コロナウイルスの感染の再拡大や点在する地政学的リスクもあり、景気は引き続き極めて厳しい状況となっている。

 タダノの関連業界は、日本では、2020 年4月の緊急事態宣言発令に伴う建設工事中断等により需要は減少、その後稼働率は持ち直しつつあるものの、回復には至らなかった。海外では、各国政府のロックダウン等の影響を受け、すべての地域で需要が減少、本格的な回復時期については不透明な状況が続いた。このような経営環境の中、タダノグループは、売上確保に努める一方、徹底的な諸経費削減、たな卸資産の適正化に取り組んだ。

 2020 年10 月8日、ドイツ子会社Tadano Demag GmbHTadano Faun GmbH が、現地法に基づく事業再生手続きを進めることを決定し、現地裁判所に手続きを申請した。その後、2020 年12 月23 日に再生計画を提出し、2021 年3月31 日をもって現地裁判所から最終承認を得て、公的支援である防護的保全手続き(Protective Shield Proceeding)が終了した。なお、再生計画の実行にあたり、欧州事業の司令塔となるTadano Europe Holdings GmbH は2021 年1月から事業を開始している。今後は再生計画に沿って欧州事業の再生をスピーディに進め、タダノグループの長期成長につなげたいと考えている。

 また、2018 年1月19 日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告について、2021年1月、米国当局(環境保護庁・司法省)からタダノグループによる違反とそれに伴う民事制裁金(Civil Penalty)4,050 万US ドルおよびその他の合意条件について提案を受けた。今後も当局と協議を続け、最終的に確定した段階において、改めて発表する。

■セグメント別状況

(タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益で、仕向地別売上高とは異なる)

1)日本

 日本向け売上は、高所作業車が増加、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが減少、海外向け売上も減少し、その結果、売上高は1,251 億7千万円(前期比77.5%)、営業利益は82 億7千2百万円(前期比48.5%)となった。

2)欧州

 建設用クレーン売上は、Demag 事業が連結に加わったものの、建設用クレーンの需要が減少し、売上高は618 億1千1百万円(前期比90.2%)、営業利益は125 億5千7百万円の損失(前期63億7千6百万円の営業損失)となった。

3)米州

 建設用クレーンの需要が減少する中、売上高は375 億7千3百万円(前期比63.5%)、営業利益は2億3千8百万円の損失(前期37 億1千9百万円の営業利益)となった。

4)その他

 建設用クレーンの需要が減少する中、売上高は137 億1千2百万円(前期比84.5%)、営業利益は2億1千3百万円(前期1千4百万円の営業損失)となった。

■主要品目別状況

1)建設用クレーン

 日本向け売上は、需要が減少する中、396 億1千5百万円(前期比82.8%)となった。海外向け売上は、Demag 事業が連結に加わったものの、すべての地域で需要が減少し、698 億1千5百万円(前期比67.8%)となった。

 この結果、建設用クレーンの売上高は1,094 億3千万円(前期比72.6%)となった。

2)車両搭載型クレーン

 日本向け売上は、需要の減少により、179 億2千万円(前期比88.3%)となった。海外向け売上は、13 億9千3百万円(前期比74.5%)となった。

 この結果、車両搭載型クレーンの売上高は193 億1千4百万円(前期比87.1%)となった。

3)高所作業車

 高所作業車の売上高は、需要が減少する中、高付加価値商品の拡販に注力し、187 億1百万円(前期比104.0%)となった。

4)その他

 部品、修理、中古車等のその他の売上高は、Demag 事業連結により、385 億9千3百万円(前期比104.4%)となった。

■次期見通し

 今後の経済見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大の防止策や、各種政策の効果により、持ち直しの動きが続くことが期待される。タダノグループを取り巻く市場環境については、依然として厳しい状況にある中、一部地域では政府による経済対策としてのインフラ投資及び再生可能エネルギー関連プロジェクト等によりお客様の投資マインドに回復の動きが見られる。本格的な回復時期については新型コロナウイルスの再拡大状況等と合わせて注視していく。

 現時点における業績予想は、次のとおり。

 売上高2,150億円(前期比15.6%増)、営業利益42億円、経常利益34億円、親会社株主に帰属する当期純利益105億円。

 為替レートは、105 円/米ドル、125 円/ユーロを前提としている。

 なお、欧州事業再生関連収益として債務免除益等約100 億円を特別利益に見込んでいる。

 タダノの2021年3月期決算及び中期経営計画関連ページ

 

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