2020年度におけるグループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界的に設備投資の減少傾向が続くなど、厳しい市場環境となったが、中国がいち早く回復したほか、その他の地域も第2四半期頃から緩やかに回復してきた。
なお、2020年度において、「安全性」「使いやすさ」「高信頼性」の全てを兼ね備えた新型協働ロボット「ファナック ロボット CRXシリーズ」が「2020年日刊工業新聞十大新製品賞 本賞」「2020年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」および「第9回ロボット大賞 経済産業大臣賞」を受賞した。
■部門別状況
<FA部門>
レーザについては、中国市場および欧州市場で回復基調にあるが、海外メーカとの厳しい競争が継続している。
FA部門の連結売上高は、1,492億40百万円(前期比4.2%増)、全連結売上高に対する構成比は27.1%となった。
<ロボット部門>
ロボット部門については、米州では一般産業向けが堅調で、自動車産業向けもEV関連の需要を取り込み、売上が増加した。また、中国でIT関連のほか、EV、建機、重機、その他の機械加工向けも加わり、売上が好調に推移した。欧州では、一般産業向けは堅調だったが、自動車産業向けが設備投資の谷間となり、前年同期に比べて売上が減少したほか、国内では売上が低調に推移した。
ロボット部門の連結売上高は、2,100億24百万円(前期比3.7%増)、全連結売上高に対する構成比は38.1%となった。
<ロボマシン部門>
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)は、期の後半から中国を中心に、パソコン、タブレット、スマートフォン市場向けの需要が急増したため、売上が増加した。ロボショット(電動射出成形機)も、期の後半から中国、欧米を中心に、IT関連、医療市場向けの需要が増加し、売上が回復した。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)については、期の後半から回復したが、年間では売上が減少した。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,145億18百万円(前期比52.9%増)、全連結売上高に対する構成比は20.8%となった。
<サービス部門>
サービス部門については、第1四半期における世界各地でのロックダウンなどによる影響を受け、顧客の工場の稼働停止や工場の稼働率低下等により、ファナックサービスへの依頼が減少したものの、その後ファナックサービスへの依頼は回復した。
サービス部門の連結売上高は、775億5百万円(前期比11.5%減)、全連結売上高に対する構成比は14.0%となった。
■2021年度売上見通しは、19.2%増の6,571億円
今後しばらくの間、FA、ロボット、ロボマシンの各分野において、IT関連など様々な分野で旺盛な需要が見込まれることから、2021年度(2022年3月期)の連結業績予想を以下のとおりとした。
売上高6,571億円(前期比19.2%増)、営業利益1,484億円(同31.9%増)、経常利益1,645億円(同27.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,205億円(同28.2%増)。
為替レートは、平均105円/ドル、125円/ユーロを想定している。