■経営成績の概況
2020年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、景気が急速に悪化するなど厳しい状況となった。緊急事態宣言の解除をきっかけに国内消費は緩やかに回復基調となったものの、第2波、第3波と感染者が再び急増し、予断を許さない状況が続いた。また、海外においても、同感染症の世界的な感染拡大に収束の気配がなく、ワクチン接種が進められているものの、長期的な景気の落ち込みが予想され、先行き不透明な状況が続いた。製造業に関する需要は、同感染症の影響から当初は需要が冷え込んだが、経済活動が再開されるもとで設備投資は意欲的な傾向にあり、海外ではペントアップ需要から世界的な生産活動の回復を背景に幅広く増加する傾向となった。
東洋機械金属の事業に関連する業界においては、2020年度前半は国内外の需要は落ち込み、厳しい事業環境となったが、後半から自動車関連の需要は回復傾向にあり、また、スマートフォンやその関連付属商品のIT関連やコロナ渦における需要から医療関連、生活用品関連が増加するなど、業界の市場は回復傾向で推移した。
■製品別の売上状況
<射出成形機>
射出成形機については、国内は、日用雑貨や容器類などの生活用品や自動車関連が減少した。また、海外においては、中国でのIT電子機器や医療機器関連の小型機が堅調に推移したが、欧州や米国での生活用品関連やアジアでの自動車関連が減少した。その結果、売上高は19,606百万円(前年同期比17.7%減)となった。
<ダイカストマシン>
自動車関連向けを中心とするダイカストマシンについては、国内の売上は減少した。また、海外では中国やアジアの売上が減少した。その結果、売上高は5,264百万円(前年同期比20.6%減)となった。
■今後の見通し
今後の経済見通しについては、景気の低迷が顕著になる中、新型コロナウイルス感染拡大が世界各地で続き、国内外の経済活動に大きく影響しており、先行きは予断を許さない状況が続いている。
東洋機械金属の事業に関連する市場においては、EV化、軽量化に向けた自動車関連の需要や5GでのスマートフォンやタブレットなどのIT関連、コロナ渦における医療検査機器関連や消費者の巣ごもりの影響から生活用品関連の需要が増加するなど、景気は回復するものと予想される。
このような市場環境のもとで東洋機械金属グループは、新たに2024年3月期を最終年度とする3ケ年の中期計画(計画名称”TOYO GO CHALLENGE 2023”)を策定した。
主な経営基本方針は、①顧客が抱えるモノづくりの領域の課題を解決し、顧客の付加価値向上に貢献する「Customers’ Value Up」の推進展開、②自社・顧客・社会が持続的に成長できる仕組みと体制を整備する「持続的成長に向けた新たな取組み」、③経営管理基盤と人財育成の仕組みを再構築し、コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を進める「経営基盤刷新と強化」、これらの新たな基本方針の各種諸施策を全社一丸となって取組み、中長期的な収益向上への事業活動を推進していく。
営業では、販売代理店との連携強化を図り、成長市場への営業力を強化し、受注獲得に努めていく。また、技術開発では、顧客の商品価値を高める独自技術とカスタマイズ対応力を活かし、成長分野のニーズに対応した新製品の開発に注力していく。さらに生産では、常熟現地法人の工場新設や明石本社の工場拡充で生産能力の拡大を図るとともに、原価低減プロジェクトによる原価管理体制の整備とコスト削減施策、スマートファクトリーの実現に向けたDX化を推進し、収益構造の変革及び事業拡大と業績確保に努めていく。
2022年3月期の連結業績見通しについては、売上高30,000百万円(前期比20.6%増)、営業利益1,200百万円、経常利益1,250百万円、親会社株主に帰属する当期純利益850百万円を見込んでいる。