・日本企業による脱炭素社会に向けた海外事業展開を支援
国際協力銀行(JBIC)は3月22日、19日、丸紅等が出資するサウジアラビア法人South Rabigh Renewable Energy Company(以下、SRREC)との間で、同国ラービグ太陽光発電事業を対象として、融資金額約78百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結したと発表した。融資は、みずほ銀行及びサウジアラビア法人Al Rajhi Banking & Investment Corporationとの協調融資により実施するものであり、協調融資総額は約157百万米ドル。なお、Al Rajhi Banking & Investment Corporationはイスラム金融に基づき資金提供を行う。
プロジェクトは、丸紅がサウジアラビア法人Al Jomaih Energy & Water Companyと共に設立したSRRECが、サウジアラビアの首都リヤド西方約800kmに位置するラービグ地区において実施する太陽光発電事業。SRRECは、発電容量300MWの太陽光発電プラントを建設・所有・運営し、完工後25年に亘りサウジアラビア電力調達会社(Saudi Power Procurement Company)に売電する。融資は、JBICとして初のサウジアラビアにおけるIPP事業*2及び再生可能エネルギー事業向け融資となる。
日本政府は、2020年12月に策定した「インフラシステム海外展開戦略2025」において、世界的なエネルギー転換・脱炭素化に向け、技術的優位性等を持つ我が国企業を支援することを表明している。融資はこうした政府の施策に沿うものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期に亘り運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するもの。
サウジアラビア政府は、「Saudi Vision 2030」の一環として、2019年1月に「National Industrial Development and Logistic Program」を発表し、2030年までに40GWの太陽光発電事業及び16GWの風力発電事業を推進する計画を掲げている。同プロジェクトは、こうした同国政府のエネルギー政策に沿うもの。また、サウジアラビアは世界有数の原油及び天然ガス産出国であり、本プロジェクトへの支援は、日本にとって重要な原油輸入先の一つである同国との重層的な経済関係の更なる強化にも貢献することが期待される。
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していく。
注釈
*1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキーム。
*2 IPP(Independent Power Producer)とは、自前で発電設備を建設・運営し、電力を販売する独立系発電事業者のこと。