売上高は、多くの事業分野で新型コロナウイルス感染拡大による世界的な経済活動の停滞の影響を受けた。建設機械向け油圧機器が中国において好調に推移したが、自動ドア事業、航空機器事業、商用車用機器事業では、新型コロナウイルスによる移動制限等で各市場において需要が減少した。営業利益は第1四半期及び第4四半期での非事業用不動産(投資不動産)の売却もあり、同12%増の28,533百万円となった。
■セグメント別業績
<コンポーネントソリューション事業>
精密減速機は、第4四半期より中国や北米の自動車業界における設備投資が回復し、売上高は前期並みとなった。油圧機器は、中国市場の旺盛な需要が継続したことに加え、欧米市場も回復傾向にあり、売上高は前期比で増加となった。
<トランスポートソリューション事業>
鉄道車両用機器は、国内新車需要に支えられ、売上高は前期並みとなった。航空機器は、民間航空機向けの需要が減少し、売上高は前期比で減少となった。商用車用機器は、国内市場及び東南アジア市場の需要が停滞し、売上高は前期比で減少となった。舶用機器は、新造船向け及びMRO (Maintenance、Repair、Overhaul) 共に、売上高は前期並みとなった。
<アクセシビリティソリューション事業>
アクセシビリティソリューション事業の受注高は、前期比1.8%減少し79,893百万円となった。売上高は、前期比7.9%減少し73,665百万円、営業利益は、同9.7%減少し7,733百万円となった。
自動ドア事業は、オリンピック・パラリンピック開催に向けた再開発等の旺盛な需要が一段落したことに加え、新型コロナウイルスの影響による国内外市場での需要停滞により、売上高は前期比で減少となった。
<その他>
その他の受注高は、前期比5.1%減少し16,944百万円となった。売上高は、前期比4.9%減少し17,747百万円、営業利益は、同8.7%減少し2,329百万円となった。
包装機は、外食産業向け需要の低迷により受注が減少し、売上高は前期比で減少となった。
■今後の見通し
ナブテスコグループでは、トランスポートソリューションセグメント事業において引き続き新型コロナウイルスによる世界的な移動制限等の影響を受け、需要減少が継続する見込み。一方、コンポーネントソリューションセグメント事業においては、建設機械向け油圧機器が好調を維持するとともに、精密減速機の需要が更に回復することから、次期の売上高は前期比2.4%増加の286,000百万円、営業利益は前期比1.6%増加の29,000百万円を見込んでいる。
なお、次期の連結業績予想については、㈱ハーモニック・ドライブ・システムズの持分法適用除外に伴う評価益1,251億円(2021年1月29日の株価の終値)等を織り込んでいる。
■セグメント別見通し
<コンポーネントソリューション事業>
コンポーネントソリューション事業の売上高は前期比11.8%増加の122,800百万円、営業利益は前期比15.4%増加の20,400百万円を見込んでいる。
精密減速機は、自動車産業における設備投資の回復によるロボット向け需要の増加に加え、下期は一般産業における自動化ニーズの拡大を見込み、前期比で増加の見通し。
油圧機器は、中国での高い需要の継続に加え、先進国や東南アジアにおいても需要の回復を見込み、売上高は前期比で増加の見通し。
<トランスポートソリューション事業>
トランスポートソリューション事業の売上高は前期比9.6%減少の70,600百万円、営業利益は前期比97.7%増加の6,600百万円を見込んでいる。
鉄道車両用機器は、新型コロナウイルスの影響による海外向け案件の入札遅れにより、売上高は前期比で減少の見通し。航空機器は、民間航空機向けの需要減少に加え、防衛装備品調達計画の谷間による減少により、売上高は前期比で減少の見通し。商用車用機器は、国内市場において厳しさを増すものの、中国及び東南アジア市場での需要の回復を見込み、売上高は前期並みの見通し。舶用機器は、新造船向け需要の減少をMROの販売拡大でカバーすることにより、売上高は前期並みの見通し。
<アクセシビリティソリューション事業>
アクセシビリティソリューション事業の売上高は前期比1.7%減少の72,400百万円、営業利益は前期比5.6%減少の7,300百万円を見込んでいる。
自動ドア事業は、プラットホームドア需要が前期比で減少するものの、建物用ドアにおいては、国内外で引き続き販売拡大に努めることで、売上高は前期並みの見通し。
<その他>
その他の売上高は前期比13.8%増加の20,200百万円、営業利益は前期比24.5%増加の2,900百万円を見込んでいる。
包装機は、国内での化成品需要、海外でのレトルト需要の拡大を見込み、売上高は前期比で増加の見通し。