営業利益は、減収による粗利益の減少を、販管費の削減で吸収しきれず、前期比661百万円減少の2,084百万円(前期比24.1%減少)。経常利益は、為替差損および持分法投資損失の縮小等により、前期比593百万円増加の1,702百万円(前期比53.6%増加)。税金等調整前当期純損失は、中国の持分法適用関連会社の出資比率低下に伴う持分変動利益の計上はあったものの、減損損失の計上により7,114百万円(前期は税金等調整前当期純利益1,302百万円)。親会社株主に帰属する当期純損失は、再評価に係る繰延税金負債の取崩しに伴う税金費用の減少もあり5,641百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益723百万円)となった。
2020年12月期における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続く中、感染拡大防止と社会経済活動維持を両立していく政府の取り組みもあり、企業収益の減少幅が縮小するなど持ち直しの動きもみられたが、秋以降の感染再拡大により回復は緩やかなものにとどまった。海外についても、徐々に経済活動が再開され緩やかな回復の兆しが見られたが、先行き不透明な状況が続いた。このような状況の中、井関農機グループは、国内では、新商品の投入や顧客対応の充実など、農業構造変化への対応強化に、海外では、主力市場である北米、欧州、中国、アセアンでの販売強化に努めてきた。
■商品別の売上状況
<国内>
整地用機械(トラクタ、乗用管理機など)は22,894百万円(前期比9.8%減少)、栽培用機械(田植機、野菜移植機)は8,869百万円(前期比2.0%減少)、収穫調製用機械(コンバインなど)は16,883百万円(前期比9.2%減少)、作業機・補修用部品・修理収入は42,000百万円(前期比2.9%増加)、その他農業関連(施設工事など)は25,259百万円(前期比5.7%増加)となった。
<海外>
整地用機械(トラクタなど)は24,667百万円(前期比2.6%減少)、栽培用機械(田植機など)は1,701百万円(前期比44.5%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は2,307百万円(前期比35.3%増加)、作業機・補修用部品は3,218百万円(前期比14.8%増加)、その他農業関連は1,502百万円(前期比27.6%増加)となった。
■2021年の見通し
次期の井関農機グループを取り巻く環境は、国内外ともに新型コロナウイルス感染症が依然残るものの、ワクチンの普及等により徐々に収束に向かい、2021年度中には社会活動や経済活動も緩やかに回復していくものと仮定している。
売上面では、国内は、消費増税前駆け込み需要反動減からの回復や経営継続補助金などの需要喚起策への期待はあるものの、近年多発している天候不順の被害や外食産業の落ち込みに伴う農業生産者所得の減少による農機需要への影響等も懸念され、市場は横ばいで推移するものと見ている。
こうした中、農業の構造変化に対応した大型機械、スマート農機に加え、サービス・サポート対応の推進強化と、堅調な部品・修理収入により増収を見込んでいる。海外は、欧州の回復、北米コロナ禍巣ごもり需要の継続、昨年12月に実施したアセアン販売代理店の連結子会社化などにより、増収を見込んでいる。
収益面では、販管費の増加はあるものの、増収による売上総利益の増加に加え、構造改革と経営効率化に全社で取り組むことで、増益を見込んでいる。また、2020年度にコロナ対策として一定の効果があった、Webを活用したバーチャル実演会や小規模ロングラン商談会などの工夫を進化させ、収益影響を最小限に抑えていくので、同感染症の井関農機グループへ及ぼす影響は限定的であると想定している。
2021年12月期の連結業績見通しは、売上高153,500百万円(前期比2.8%増)、、営業利益3,600百万円(同72.7%増)、経常利益3,500百万円(同105.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円(前期は△5,641)。