国内売上高は機械部門が新型コロナウイルスの感染拡大や前期の消費増税の影響などにより減少したほか、水・環境部門も環境関連製品や、合成管などの民需向けの製品が減少したため、前期比302 億円(4.8%)減の5,952 億円となった。海外売上高は新型コロナウイルスの感染拡大を背景に巣ごもり需要が伸長する一方で、生産や出荷の遅れなどにより機械部門が大きく減少したほか、水・環境部門もわずかに減少したため、前期比366 億円(2.8%)減の1 兆2,580 億円となった。海外売上高比率は前期比0.5 ポイント上昇して67.9%となった。
■部門別の概況
<機械部門>
国内売上高は前期比4.4%減の2,929 億円となった。消費増税前の駆け込み需要の反動減や、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売活動の自粛などにより農業機械が大幅に減少した。
海外売上高は前期比2.9%減の1 兆2,159 億円となった。
北米では、4 月以降の堅調な需要や新機種効果などにより、ディーラーから最終顧客への小売は極めて好調に推移した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生産の遅れなどによりクボタからディーラーへの卸売が翌期にずれ込んだため、建設機械やトラクタの売上が減少し、ディーラーの在庫水準も大きく低下した。また、OEM先の在庫調整などによりエンジンも大幅減となった。
セグメント利益は値上げ効果や米国の金利低下などの増益要因はあったが、生産工場の損益悪化や、国内外での減収、円高の影響などにより、前期比11.5%減少して1,796 億円となった。
<水・環境部門>
同部門はパイプインフラ関連製品(ダクタイル鉄管、合成管、官需向けバルブ、素形材、スパイラル鋼管、空調機器等)、環境関連製品(各種環境プラント、ポンプ、民需向けバルブ等)により構成。同部門の売上高は前期比4.3%減少して3,158 億円となり、売上高全体の17.0%を占めた。
国内売上高は前期比4.8%減の2,740 億円となった。ダクタイル鉄管や工事事業などが伸長したが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により合成管、素形材、スパイラル鋼管、空調機器などが民需向けを中心に低調に推移したため、パイプインフラ関連製品は減少した。環境関連製品は大型案件である福島県双葉町での廃棄物処理施設の建設に伴う売上が一巡したことにより前期を下回った。
海外売上高はダクタイル鉄管や素形材が伸長したものの、環境関連製品が減少したため前期比1.0%減の418 億円となった。
セグメント利益は原材料価格が低下したものの、国内での減収やプラント建設コストの増加などにより、前期比7.9%減少して259 億円となった。
<その他部門>
同部門は各種サービス事業などにより構成。同部門の売上高は前期比9.3%減の287 億円となり、売上高全体の1.6%を占めた。セグメント利益は前期比6.1%増加して38 億円となった。
■2021年12月期の見通し
2021年通期の売上高は2020年比1,968 億円増の2 兆500 億円を見込んでいる。国内市場では、機械部門、水・環境部門ともに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う低迷からの回復が見込まれるため、国内売上は増加する見通し。海外市場では、機械部門が底堅い需要や、ディーラーへの卸売が2020年からずれ込むことなどを背景に北米での大幅な増収を見込んでいるほか、水・環境部門も増収となるため、海外売上は大きく増加する見通し。
営業利益は原材料価格の上昇や円高の影響はあるものの、大幅な増収や2020年の減産に伴う生産工場の損益悪化が解消されることなどにより、2020年比447 億円増の2,200 億円となる見込み。また、税引前利益は2020年比391 億円増の2,250 億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は2020年比295 億円増の1,580 億円を予想している。
業績見通しにおける想定為替レートは、1 米ドル=105 円、1 ユーロ=125 円としている。