2020年4~12月期における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界全体で経済活動が停滞し、設備投資も総じて低迷しているが、年度後半に入り回復傾向に転じる地域も出てきている。このような経済環境のもと、アマダグループでは、レーザ、ベンディングを中心とする商品ラインアップ拡充および自動化推進、アマダのIoT、V-factory等によるアフタービジネスの強化、デジタル営業体制構築、製造におけるIoT導入などコロナ後の環境変化を見据えた攻めの経営戦略とともに、経費削減や抜本的な構造改革を通じた収益体質の強化を推進している。
■事業別・地域別の概況
<金属加工機械事業>
売上収益は140,257百万円(前年同期比22.6%減)と減少したが、営業利益は固定資産売却益を計上したことなどにより17,332百万円(同9.8%減)と小幅減少となった。
日本:日本経済は、5月をボトムに鉱工業生産指数が前月比プラスに転じるなど持ち直しの動きが見られたが、年末にかけて新型コロナウイルスの感染再拡大を背景に再びマイナスに転じるなど、本格的な回復基調には至っていない。こうした中、配電盤・制御盤、半導体製造装置等の5G関連向けは堅調でしたが、工作機械関連や鋼材販売業向けの販売が低調に推移したことで、売上収益は50,418百万円(前年同期比23.9%減)となった。
北米:米国経済は、政府による大規模な経済政策や金融緩和を受け、年央から回復局面へと転換している。新型コロナウイルス感染拡大による設備投資の手控えの影響を受け、アマダの販売は縮小した。但し、政府の経済対策もあり米国内への製造回帰による設備投資を背景とする5G関連投資や新型コロナウイルスに関連した医療機器関連では需要が堅調に推移した。またキャンプ用品等のアウトドア向け、コンベア等の物流関連向けの販売は堅調に推移し、販売活動における早急なWeb化の実施も奏功したことで、売上収益は33,342百万円(前年同期比16.0%減)と他地域と比較して小幅減少となった。
欧州:欧州経済も年央から一旦、回復に転じましたが、秋口からの感染再拡大に対応したロックダウン等の影響で、回復にブレーキが掛かった状況です。そのような中、アマダにおいても年央には医療機器関連向けや建築関連向けでは需要環境は改善したものの、その他の業種では設備投資の手控えが見られ、ドイツやフランス、イタリア、イギリス等の主要国を中心に販売が減少したことで売上収益は24,564百万円(前年同期比24.0%減)となった。
アジア他:中国経済は他地域に先がけて回復に転じ、成長率の加速が顕著であり、その中で製造業の設備投資も感染症対策に対応する医療機器、5Gを中心とする電子・通信設備を中心に堅調です。一方、その他のアジア・新興国経済は、感染影響に改善の兆しが見られない中、総じて厳しい状況が続いている。アマダにおいても、中国ではこれらの需要を取り込み、政府の新エネルギー車への国策もあり、充電ステーションや風力、太陽光発電等で需要が高まっている配電盤・制御盤の販売が堅調でした。また5G関連向けや医療機器関連向け等でも好調に推移し、中国では増収でした。その反面、台湾、インド等で設備投資の慎重化が見られるなど、需要の低迷から売上が大きく落ち込みました。以上からアジア他全体として、売上収益は16,309百万円(前年同期比19.9%減)となった。
<微細溶接部門>
他地域に先んじて経済が回復した中国においてはEV等の電池向けの販売が増収となるなど、需要環境の改善が見られたが、北米、欧州、日本で、主要顧客である電装品等の自動車部品関連業種における新規設備投資抑制の影響を受け、販売が減少した。
<金属工作機械事業>
売上収益は30,458百万円(前年同期比34.0%減)、営業利益は592百万円(同88.6%減)となった。
中国では政府の支援策によりインフラ投資が活発であったことで鋼材需要が底上げされ、需要が堅調に推移したが、その他の地域では国内などで、主要顧客である自動車関連の生産や粗鋼生産高が総じて低調だったため、鋼材業の稼働率も縮小したことで、販売が減少した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
第3四半期連結累計期間の業績において、販売が当初見込みを上回ったことや、経費削減が順調に進捗していることから、当初想定を上回る通期業績が見込まれるため、2020年11月11日に公表した業績予想値を下記のとおり修正した。
売上収益240,000百万円(前期比25.0%減、前回予想23,3000)、営業利益19、000百万円(同45.2%減、同12,000)、親会社株主に帰属する当期利益13,000百万円(同44.4%減、同6,000)。
予想の前提となる第4四半期連結会計期間の主要為替レートは、1米ドル=103.50円、1ユーロ=125.00円を想定しており、通期の平均レートは1米ドル=105.46円、1ユーロ=123.03円となる。