2020年4~12月期における酒井重工業グループを取り囲む事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う地球規模の行動制限と経済停滞が続く中、Withコロナを前提とした新常態の行動様式が定着し、デジタル技術の社会実装が進んだ。
また世界秩序をめぐる社会の分断、地球温暖化による自然災害の甚大化、新自由主義とグローバル化による経済格差の深刻化に対して、世界規模で社会的価値観の変容が進み、ESGやSDGs、ステークホルダー資本主義など、企業活動に対しても幅広い社会的責任が求められるようになってきた。
更には気候変動対策として、世界主要国がカーボンニュートラル政策を一斉に打出したことから、化石燃料からの決別という現代社会の壮大なパラダイムシフトが始まった。
このような事業環境の下で酒井重工業グループでは、デジタル技術を活用した事業活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)と本業の社会資本整備を通じたSDGs課題への取組みを積極化するとともに、引き続き「変化を大前提とした事業経営」と「海外事業と次世代事業による中長期成長戦略」を進めてきた。
■連結地域区分別売上高状況
海外向け売上高は、感染症によるまだら模様の市場情勢が続き、前年同期比18.0%減の58億2千万円となった。
北米向け売上高は、住宅建設投資及び道路建設投資が拡大する中で需要停滞が続き、前年同期比24.3%減の19億7千万円となった。
アジア向け売上高は、タイ、ベトナム、韓国市場が回復基調に推移する中で、主力のインドネシア市場の停滞が続き、前年同期比2.3%減の35億3千万円となった。
中近東・ロシアCIS向け売上高は、営業活動が停滞し、前年同期比98.7%減の6百万円となった。
その他市場向け売上高は、中南米市場が回復基調に推移したものの、大洋州、アフリカ市場が振るわず、前年同期比13.7%減の2億9千万円となった。
■セグメント業績
日本:国内向け販売が堅調に推移したものの、海外工場向け部品輸出の停滞が続き、総売上高は前年同期比11.1%減の132億4千万円、営業利益は同38.4%減の4億9千万円となった。
海外:米国では、建設投資が拡大する中で建機需要の停滞が続き、総売上高は前年同期比24.1%減の19億9千万円、営業利益は若干改善して6千万円の損失となった。
インドネシアでは、第三国向け輸出が約3割増加する一方、感染拡大により国内販売が約7割減少した結果、総売上高は前年同期比23.2%減の20億2千万円、営業利益は1百万円の損失となった。
中国では、米中事業デカップリング方針の下、国内販売を約3割伸ばしましたものの、北米向け輸出とグループ工場向け部品輸出の減少をカバー出来ず、総売上高は前年同期比32.1%減の5億8千万円、営業利益は5千万円の損失となった。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後国内では、総額15兆円の防災・減災、国土強靭化の為の5か年加速化対策を背景として、堅調な事業環境が続くものと期待される。
海外では、経済活動が徐々に再開に向かうとともに、各国でインフラ投資や金融緩和による経済対策が始まったことから、海外事業も緩やかな回復に向かうものと期待される。
技術面では、社会資本整備のデジタル化やスマート化、更にはカーボンニュートラルに向けた省エネルギー化や電動化など、新技術活用による次世代事業ニーズが益々高まる見通し。
このような世界情勢の大転換期の中で酒井重工業グループでは、DXによるビジネスモデルの革新とSDGsや脱炭素に関わる社会的課題への取組みを積極化すると共に、引き続き需要変化対応力の強化、米中分断に伴う米国事業と中国事業の収益構造改革、アジア市場深耕と北米市場展開、新技術活用による次世代事業の開発、活力ある企業文化づくりなど、新たな事業環境における成長基盤を固めていく。