・国内最大級のポンプ駆動用ガスタービンの改良・整備
㈱荏原製作所(以下:荏原)は1月27日、中川・綾瀬川流域の中流域における雨水時の排水を担う首都圏外郭放水路 庄和排水機場(以下:排水機場)において、ポンプ駆動設備の一つであるガスタービンの改良、整備工事を受注したと発表した。
1.背景
首都圏外郭放水路は、埼玉県春日部市に設けられた世界最大級(※1)の地下放水路(地下の川)。この地域は、他地域に比べ土地が低く水が溜まりやすい地形であり、また複数の中小河川があることで、開発が進んだ高度成長期以降は大雨時に浸水被害が多く見られるようになった。同施設では、各河川で増水した雨水を全長6.3kmの地下放水路を通じて排水機場へ集め、大型ポンプの力で江戸川に安全に排水することで、洪水の被害を軽減している。
荏原はポンプ設備などの提案、設計、調達、機械設備工事、アフターサービスの総合エンジニアリングによって、水インフラが抱える課題を解決している。
2.概要
排水機場の地下に設置された大型ポンプの排水能力は、1台あたり1秒間に50m3(約50t)。そのポンプの駆動設備は、信頼性の高い航空機用に開発されたガスタービンを改造したもの。今回の工事では、14,000馬力のガスタービンと周辺機器の信頼性の高さを保つための改良・整備工事や総合試運転が行われる。
・工事名称:R2庄和排水機場ポンプ設備改良等工事
・発注者:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所
・施工場所:埼玉県春日部市上金崎地先
・施工対象:ポンプ駆動用1号主原動機(2軸式ガスタービン)
10,297kW(14000PS)×4000min-1 1台 他付帯設備
・工期:2021年1月~2024年2月
3.今後の展開
荏原は、雨水排水機場では国内トップのポンプ納入実績を持ち、現在も新設のほか更新や改造など多くのプロジェクトを遂行中。荏原はこれからもポンプ事業のトップメーカーとして顧客の課題を解決し、安全な工事を進め、安心できるインフラ設備の発展に貢献していく。
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていく。
※1:最大排水量 200立方メートル/秒のポンプ設備をもつ。洪水を流す地下河川や巨大な調圧水槽がある施設。
(参考)首都圏外郭放水路