2021年 社長年頭挨拶(要旨)
~「打てば響く」を実践し、強靭な事業構造への変革を実現する~
【自然と技術が調和する社会の実現に向けて】
新型コロナウイルスにより、世の中は大きく変化している。この変化によって生じたニューノーマルは、後戻りすることはないが、決して危機ではなく、働き方や業務のあり方を変え、IHIグループを変えていくチャンスだと考えている。昨年11月には、 中期経営計画「グループ経営方針2019」の基本コンセプトを継承した、環境変化に即した事業変革の取組みである「プロジェクトChange」を公表した。「プロジェクトChange」の実行によって、成長軌道への回帰を早期に実現、さらに、新たな成長事業を創出し、IHIグループの事業構造を強固なものにしていくことを目指す。
また、これまで掲げていた、営業利益率8%以上、ROIC10%以上という数値目標は、「プロジェクトChange」においても継続する。この目標は2020年度の営業利益が200億円の見通しであることを考えると、非常に高い目標である。しかし、私は必ず達成できる目標であると考えている。達成のための取組みについて、以下のとおりお話しする。
①業績回復への道筋について
これまで進めてきた、採算性の向上やリスクマネジメント徹底の取組みは、着実に成果に結びついている。今後も徹底したコストダウンの取組みを進め、売上規模の変動の影響を受けにくいコスト構造を実現する。例えば、車両過給機事業では、新型コロナウイルスの影響により売上高は減少したが、コスト構造を見直したことで損益分岐点が下がり、事業全体としては増益となった。このような取組みを水平展開することにより、IHIグループの収益基盤をさらに強化していく。 また、これまでも積極的に取り組んできた運転・保守サービスなどのライフサイクルビジネスを全事業領域で拡大させる。お客さまのニーズに沿った包括的なサービスの提供を、デジタルトランスフォーメーション技術を活用しながら、グローバルに展開していく。
このような施策を実現するための基盤となるのは「人材」である。 環境変化に打ち勝つ事業体質を構築するためには、皆さん一人一人に活躍してもらうことが大切である。そのためにも、柔軟な働き方や自律的なキャリアを形成できる環境づくりを進めていく。昨年10月には、IHIグループの働き方の見直しを推進するため、社長直轄の組織である「働き方改革準備グループ」を立ち上げ、業務改善や無駄の排除など、生産性の向上を加速させる取組みも開始した。皆さんにも、業務プロセスの見直しによる生産性の向上など、できることから取り組んでいただきたい。
②持続的な成長のための新たな事業の創出について
コロナ禍の環境変化の中で、IHIグループが向かうべき方向や取り組むべき課題は明確になってきた。これからIHIグループは自然と技術が調和する社会の実現を目指していく。「脱CO2の実現」、「防災・減災の実現」、「暮らしの豊かさの実現」という社会課題の解決に取り組む中で、成長事業を創出していく。
皆さんには、従来の事業領域・SBUの垣根や常識にとらわれず、柔軟な発想を持って、自分自身が何をできるかを考えながら、日々の業務に向き合っていただきたい。
【私たちが変わる年に】
新たにスタートした2021年は、「プロジェクトChange」を実行する年であり、私たちが変わっていく年である。 私は、皆さんの先頭に立って「プロジェクトChange」を推進していく。皆さんとコミュニケーションをとりながら、皆さんの声をしっかりと経営に生かしていきたいと考えている。皆さんの思いと私の思いを直接語り合い、共に「打てば響く」を実践し、IHIグループ一丸となって「プロジェクトChange」を実行し、聖域のない変革を実現しよう。
最後に、安全と健康は企業活動の基本である。IHIグループの成長は、皆さん一人一人の安全と健康のうえに成り立っている。 職場における安全意識をこれまで以上に高め、すべての職場が安全な職場となるように、グループ全体で取り組んでいこう。